クリスマスも終わり、世の中はすっかり年末ムードだ。街は忘年会終わりの社会人や、大きな荷物を引いて歩く観光客でにぎわい、コロナ禍以前の“いつもの年末”が戻ってきたようだ。ただ、これまでと大きく変わったこともある。
東京都内などの都市部を歩いているとスーッと目の前を過ぎていく「電動キックボード」の存在もその一つだ。2023年7月の改正道路交通法の適用によって規制が緩和されてから、利用者が急増した。
中でも、電動キックボートを中心にシェアサイクルサービスを展開する「LUUP」のポートは、8都市(東京、大阪、京都、横浜、宇都宮、神戸、名古屋、広島)に5100カ所以上にのぼる(23年12月時点)。電動キックボード導入時の21年4月は400カ所だったため、2年8カ月でその数は12倍以上となった。
電動キックボード普及の立役者となっているLuup社だが、実は当初から電動キックボードを取り扱う予定があったわけではない。現サービスは創業時に構想していた別の事業を「あえなく断念」した結果、生まれたものだという。
いったい何があったのか。今年、新たなブームを作ったLuupの裏側に迫る。
Luupは18年、岡井大輝社長らが創業。認知症の祖母を家族で介護した原体験から、当初は介護士資格保持者がすき間時間に家庭の介護を手伝えるようにする事業を構想していた。しかし、この事業はあえなく断念することになったという。
「介護ニーズのある自宅は全てが駅前にあるわけではありません。中にはバスや電車ですぐ近くまで行けず、徒歩15〜20分ほど歩かないと辿り着けないお宅も多いです。そのため日本の現状の交通インフラがCtoCに不向きでした」と、広報担当の村本萌さんは説明する。
まずは日本の交通課題を解決すべきと考え、電動マイクロモビリティのシェアリング事業を立ち上げた。日本でもなじみのある電動アシスト自転車のシェアサイクルからサービスを開始した後、21年4月からキックボードのシェアサイクルを開始した。
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