「四十八漁場」リピーターが4倍に “友だち”が増えるモバイルオーダーは飲食店を変えた背景にDXあり(5/5 ページ)

» 2024年11月25日 06時00分 公開
[小林香織ITmedia]
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飲食業界に特化した「銀行」の構想も

 山田社長は、大学在学中に飲食店でのアルバイトを経験しており、非効率な仕組みを散々見てきたことがきっかけで、会社を創業したという。

 「レジ締め後の生産伝票を印刷して手打ちでExcelに打ち込んだり、営業後に今日接客したお客さんの似顔絵をスケッチブックに手描きしたり(笑)。作業が長引いて終電を逃すこともあったし、絵心がない僕が似顔絵を描いても正直、意味はないわけで。そういう課題を自分だったら解決できると思い、飲食特化のシステムを開発しました」

山田氏は、飲食店のアルバイト経験で非効率な現場を目の当たりにした(筆者撮影)

 山田氏が長期的な展望として掲げているのは、飲食業を人気の職業に押し上げていくこと、外食産業の成長によって日本のGDPを上げることだ。その実現に向けて次の一手になるのが、「飲食業界特化の銀行になること」だという。

飲食業界のインフラとなる展望には「銀行機能の提供」も含まれる(ダイニー提供)

 「飲食業界で働く人は、金融サービスを受けづらい状況があります。その人自身はスキルが高くても、飲食業というだけでクレジットカードの与信枠が低かったり、住宅ローンの審査に落ちたり。魅力的な業態を作って多店舗展開をしたくても、十分な金融サービスにアクセスできないことも。

 こうした問題を是正するには、従業員のあらゆる行動をデータ化して信用を可視化していく必要がある。接客、調理、マネジメントなどのスキルや勤務態度など、個人のパフォーマンスをデータ化することで信用の裏付けになると考えています。そうした情報を基に金融サービスの利用が広がれば、飲食業界で長く働く人が増え、人気の職業になるのではないでしょうか」

 飲食業界のインフラとなるDXソリューションの提供により、業界が抱えてきた根本の課題解決に挑むダイニー。ここから1〜2年以内にフィリピンやマレーシアなどアジア圏への進出も見込む。スタートアップならではの勢いは、しばらく続きそうだ。

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