「ヒーター搭載」で進化した半纏 背景に電気代高騰による変化 プロダクトInsights

» 2024年11月30日 08時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]

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日々リリースされる新しい商品やサービスたち。その商品やサービスには、必ず企業側の思惑や狙い、生活者のニーズ、時代の空気感が反映されている。本シリーズでは、これらの「Insight」を考察していく。

 日本伝統の防寒着である半纏(はんてん)。この半纏を現代風に進化させたのが、家電メーカーのサンコーが9月24日に発売した「電熱半纏『ほかてん』ライト(以下、ほかてん)」(希望小売価格8980円)だ。開発の経緯を、同社の広報担当者に聞いた。

hokaten 半纏、どのように進化させた?(画像はイメージ、提供:写真AC)

 ほかてんは、ヒーターを搭載した半纏。半纏自体は中綿入り、かつ起毛裏地でそのまま着ても温かいように仕上げている。着丈72センチ、肩幅60センチ、身幅62センチ、袖丈40センチで、女性や小柄な人が着やすいサイズ設計だ。

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hokaten 電熱半纏「ほかてん」ライト(プレスリリースより引用)

 ヒーターは左右の肩と背中上部の計3か所に搭載。温度は「高(約50度)」「中(約45度)」「低(約40度)」の3段階で、ポケットの内側にあるスイッチで操作する。また、モバイルバッテリーで使えるUSB給電式を採用。表に2か所、モバイルバッテリーを収納するポケットを付けた。

hokaten ヒーターは左右の肩と背中上部の計3か所(プレスリリースより引用)

 広報担当者によると、ごみ捨てや玄関掃除など、ちょっと外にも着ていけるデザインが、開発のポイントだったという。 「伝統的な半纏は、いかにも家の中で着るものといったデザインでした。ゴミ出しや玄関掃除などで外には出るけれど、いちいちコートやダウンを着るほどではない。こうした場面に着やすい半纏を目指しました」(広報担当者)。また、こたつ好きな社員からの「こたつに入れない上半身を温める羽織りが欲しい」という声も後押しになったという。

 ほかてんの開発を担当したのは、アパレル出身の社員だった。アパレルでの経験を生かし、生地選びやぼたんに至るまで「おしゃれさ」にこだわったという。生地は軽くて丈夫なコットン混のデニムを採用。単色のためのっぺりとした印象にならないよう、ミシンで縫い目を入れている。

hokaten コットン混のデニム生地を採用(編集部撮影)

 留め具はダッフルコートに付いている「トグルボタン」で、おしゃれさと着脱のしやすさを両立した。トグルボタン自体もべっ甲のようなデザインにするなど、細部にもこだわっている。

hokaten べっ甲のようなトグルボタン(編集部撮影)

 広報担当者は暖房のトレンドが、室内暖房から着る暖房にシフトしていると指摘する。電気代の高騰を受けて、部屋全体を温めるのではなく、それぞれが自分の生活スタイルに合った着る暖房を選ぶことで、節約につながるからだ。これからの冬本番に向けて、ほかてんは消費者の支持を得られるか。

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