これに加えて、カプセルトイが優れているのは「適度な射幸性」、分かりやすくいえば「適度な確実性」にある。近年のカプセルトイ人気を説明するときに「カプセルトイの魅力は、何が出てくるか分からないワクワク感にある」という説明がよく見られるが、筆者はそれは半分当たっていて、半分間違っていると考えている。
確かに、カプセルトイは何が出てくるのか分からない。しかし、「ワクワク感」や「不確実性」でいえば、クレーンゲームやアーケードゲーム、シューティングゲームなどの方が高い。なぜなら、カプセルトイにおいては、商品が出ることは確実に決まっているからだ。しかも、プレイヤーは機械のハンドルを一度回すだけで、そこまでの「体験」があるかといえばそうではない。
しかし、シューティングゲームの場合は、プレイヤーの銃の操作によってゲームの全てが決まるし(一瞬でゲームを終わらせることもできる)、クレーンゲームもプレイヤーの操作によっては永遠に景品を取ることができない。極めて不確実性が高いのだ。
また、「安価でワクワク感を手にできる」というのも、実態から見れば違うと思う。というのも、アーケードゲームは多くの場合100円か200円で、クレーンゲームも同じくらいの料金でプレイできる。一方、近年のカプセルトイは300円を超すものもザラだからだ。
前述のハピネットの調査では、カプセルトイ購入者の47.1%が一度で400〜1000円未満を使っていると回答しており、それなりに高額な遊びだといえる。それでもカプセルトイが選ばれるのは、「適度な確実性」つまり「適度な安心感」を人々が買っているからだろう。カプセルトイとは、ある程度のワクワク感を担保しつつ、安全かつ確実にコミュニケーションを成立させてくれる商品として、需要が増加しているのではないだろうか。カプセルトイはさまざまな面から見て、消費者にとっても「コスパがいい」のだ。
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