単なる「ブーム」ではない カプセルトイ専門店が爆増する背景にある「コスパ」の正体(6/6 ページ)

» 2024年12月13日 08時00分 公開
[谷頭和希ITmedia]
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今後のカプセルトイ専門店はどうなっていく? 

 カプセルトイの存在は、それを導入する事業者にとっても、消費者にとっても「コスパがいい」。だからこそ、増殖している。ただし、すでに見てきたようにカプセルトイ専門店は爆増しており、これからは淘汰(とうた)される店も出てくるだろう。

 興味深いのは、こうした専門店各社が他店と差別化を行うポイントは、「コミュニケーション」への工夫にあることだ。例えば、「ガシャポンのデパート」や「#C-pla」では、SNSにアップできるように撮影スポットを設けているが、これらは専門店における定番の取り組みになっている。

toy ガシャポンのデパート(公式Webサイトより引用)
toy #C-pla(公式Webサイトより引用)

 カプセルトイの需要が消費者の「コミュニケーション」を求める機運にあるとすれば、差別化の取り組みは今後も広がっていくだろう。ただ、この取り組みには問題がある。店舗空間の工夫は必然的にコストがかかり、事業者側にとっての「低コストで出店できる」メリットを損なうのだ。今後のカプセルトイ専門店では、「消費者」と「事業者」のメリットのせめぎ合いが起こり、そこに耐えられる事業者だけが生き残っていくことになるだろう。

著者プロフィール

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谷頭和希(たにがしら かずき)

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。


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