2024年は、リテールメディアに参入を表明した大手小売業が30社を超えました。
店舗の飽和や人口減少によって、新たな価値を付加しなくては増収増益が難しくなってきた日本の小売市場において、各社が参入を表明しているのがリテールメディアです。リテールメディアとは、売場のサイネージやアプリ、ECサイトなど、顧客との膨大な接点を強みにして、それを広告価値としてメーカー企業へ販売する取り組みです。10月に開催されたリテールメディアのイベントには、小売業や消費財メーカー、さらに広告業界を中心に当初想定の2倍に当たる来場者数があったことからも、注目度の高さがうかがえます。
リテールメディアは、新たな収益だけではなくメーカーと小売がともにマーケティングを高度化していくことにつながる取り組みのため、業績効果が高く見込まれています。小売、メーカー、広告会社が三位一体となって新しいメディア市場を創り上げられるかに今後も注目が集まります。
みずほリサーチ&テクノロジーズのデータによれば、2024年のインバウンド消費総額は7.3兆円、訪日外客数は3477万人で、2025年には7.6兆円、3622万人となる予想です。観光庁のデータによると、消費の30%前後が「買い物代」であり、約2.2兆円が小売業の商機として見てとれます。
こうした追い風を受け、三越伊勢丹ホールディングスは2024年3月期の決算でインバウンド売上高が過去最高の1088億円だったと発表。2018年度と比較して45%増という飛躍的な拡大です。ドン・キホーテも、個性的な店舗装飾がインバウンド顧客の体験価値につながり、2024年6月期の免税売上は1173億円となり、前期比で3倍という成果を出しています。「ただ商品を買うだけ」ではなく思い出や話題につながるアミューズメント性を備えることが、インバウンドを取り込む際のキーワードとなります。
小売業はサイバー攻撃に備える重要性も高まっています。イズミが2月にランサムウェアの攻撃を受け、発注システムが停止、対応に特別損失として10億円を計上して決算も遅延。2025年2月期の純利益が30%減となる見込みを発表したことからも、その重要性はよく分かります。
サイバー攻撃はどの企業にも起き得ることであり、セキュリティの早急な見直しが求められています。本社と店舗のメールやファイル送信など、全ての活動においてサイバー攻撃のリスクは潜んでいます。業績を直撃するだけでなく、信用き損という被害も発生することで復旧にはかなりの時間を要するでしょう。ガバナンスの最重要テーマとして、万全の対策が急務です。
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