こうした百貨店の傾向は、特に近年顕著になり始めている。百貨店に入るテナントもどんどん「富裕層化」していて、その1つが高級ブランド、ルイ・ヴィトンだ。
ルイ・ヴィトンはそのブランド力から、地方百貨店にとってぜひとも入って欲しいテナントの1つであり、実際に多くの地方百貨店に入っていた。しかし、地方百貨店におけるルイ・ヴィトンの店舗が、ここ数年で数多く撤退しているのだ。2019年に「トキハ大分店」が、2021年に「神戸阪急店」、2023年に「うすい店」「浜松遠鉄店」が相次いで閉店。今年は「柏店」と「水戸京成店」が閉店した。
興味深いのはこうした閉店と同時に、ルイ・ヴィトンは新規出店も続けていることだ。顕著なのが、東京や大阪といった大都市である。特に新宿は2024年11月に「ルイ・ヴィトン 伊勢丹新宿店 4F」がオープン。その結果、新宿周辺ではルイ・ヴィトンが4店舗もある。
また、インバウンド向けの店舗も増やしていて、2022年には羽田空港、2023年には成田空港、関西国際空港にそれぞれ店舗が誕生。その他、2023年にはインバウンド観光客が多く訪れる北海道のスキーリゾート「ニセコ」への期間限定のポップアップストアも展開しており、都心部や、訪日観光客が多く集まる場所への「集中」戦略を強めている。まさに、「富裕層のための百貨店」のありようが、ルイ・ヴィトンに現れており、こうした動きとも連動して、元日休業も行われているのだ。
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