なぜ百貨店は正月に休むのか 「人手不足」説に隠れた各社の真意(1/5 ページ)

» 2024年12月27日 08時00分 公開
[谷頭和希ITmedia]

 百貨店の元日営業が岐路に立たされている。高島屋や大丸松坂屋百貨店、阪神阪急百貨店は、2025年の元日、2日の休業を発表した。また、昨年までは元日営業を行っていたそごう・西武は、西武池袋本店や西武渋谷店など4店舗の元日休業を発表。これにより、2025年に都内で元日営業する主要百貨店はゼロになった。

hyaku 2025年、都内で元日営業する百貨店はゼロに(提供:ゲッティイメージズ)

 百貨店の元日休業の要因として取り上げられるのが「人材不足」だ。例えば日本経済新聞の記事では、「百貨店では人材確保のため働く環境の改善に乗り出しており、本来は稼ぎ時である元日や1月2日をあえて休業にする動きが相次ぐ」(日本経済新聞 2024年11月6日)と説明されている。百貨店に限らず、人口減少を背景にした人手不足は大きな問題であり、よりよい人材を獲得するためにも、休業日の確保は重要な手段だろう。

 また、こうした百貨店の元日休業のニュースを取り上げて「日本における24時間365日営業文化の見直しが始まりつつある」といった論調で解説する記事もある。たしかに、百貨店のこうした動きに追随するようにして、大手スーパーでも三が日を休業にする流れが出始めている。

 サミットは2021年から、ライフは2022年から多くの店舗で三が日は休業している。一方、イオン系列のスーパーやイトーヨーカドー、ドン・キホーテなどは元日から営業を行うようだ。日本の小売業態の中で巨大な市場規模を持つショッピングセンターにおいても、イオンモールなどは元日から営業しているところが多い。

hyaku サミット(公式Webサイトより引用)
hyaku ライフ(公式Webサイトより引用)

 つまり、元日休業の流れが、全国的に波及しているとは言い難い。あくまでも、「百貨店で元日休業の流れが来ている」と見るのが妥当だ。では、なぜ百貨店だけが元日営業を取りやめるのか? これには、現在の百貨店を巡る状況が表れている。

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