やる気ある部下を優遇、ない部下は“それなり”に扱っていたら怒られた 直すべき？：Q＆A Z世代部下のマネジメント法

[仲奈々，ITmedia]

Q＆A　Z世代部下のマネジメント法

　Z世代部下をマネジメントする上司の尽きないお悩みに、リクルートマネジメントソリューションズが回答します。

話を聞いた人：石橋 慶（いしばし けい）

リクルートマネジメントソリューションズ　HRDサービス推進部　トレーニングプログラム開発グループ　マネジャー

　2005年入社。ソリューションプランナーとして、幅広い業種・規模の企業に対し、人材採用・人材開発・組織開発の企画・提案を行う。2012年よりミドルマネジメント領域の調査研究およびトレーニング・モバイルラーニングの商品企画・開発に従事。

Q:　成長することに貪欲な部下に大事な役割を任せ、そうでもない部下は「本人にその意思がないのなら手をかけるだけ無駄だ」と考え、それなりに扱っています。最近、他部門の管理職から「それでいいのか」と指摘を受けてしまいました。そうは言っても、優秀な人間を引き立てていくのは必要なことだと思うのですが……。

問題は「部下に何をするか」ではなく……

A：　この問題は、部下に対して何をすべきかという以前に、上司である自分がその部下をどう捉えているかが重要です。「やる気がない」と決めつけることは、その人の「今」しか信頼していないということであり、組織の重要な資源である「人」を生かしきれていない可能性があります。まずは、そこから見つめ直してみましょう。

（提供：ゲッティイメージズ）

　マネジャーには、組織を持続的に成長させていくことが求められます。その際、組織が持つ資源をいかに生かすかを考えることが重要です。ヒト・モノ・カネという経営資源の中で、「モノ」と「カネ」はマネジャーの裁量のみで、すぐに何かできるものではありません。しかし「ヒト」という資源は、マネジャーの関わりによって大きく伸ばすことができる可能性があるのです。

　「この人は怠惰だから何をやってもムダ」と考えるのか、「取り組む仕事やそのやり方次第では仕事に前向きになりうる人だ」と考えるのか。他部門の管理職から「それでいいのか」と指摘を受けたということですが、それはこの後者の姿勢を問われたのではないでしょうか。

　マネジャーが「この人はもう伸びない」と判断し、今できる仕事しか与えず、“それなり”の接し方しかしなくなったとしましょう。すると、部下のモチベーションはさらに下がり、今以上にヒトという資源がしぼんでいってしまうことが想像できます。その人のやる気は開発し得る、今よりも成長し得ると信じられるかどうかで、重要な資源を生かせるのかは大きく左右されるのです。

　また、現在は労働力不足という背景もあり、「もうこの人は開発不可能だ」と諦めても、代わりの人材がすぐには見つかりません。マネジャーがいかにやる気を引き出し、成長を促せるかは、チームのパフォーマンスを決める重要な要素です。部下の可能性を最大限に引き出すことは、現代のマネジャーにとって解決すべき重要な課題なのです。

　とはいえ、仕事へのやる気は人それぞれ。個別の事情も、もちろんあると思います。それでも「自分は人の成長を信頼して、生かそうとしているのか？」と問い直してみてみることで、今以上に自分も、部下も、そして組織も成長できるのではないでしょうか。