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「もうギブアップ……」 部下が仕事のヘルプを出しやすくなる、効果的な工夫とは?

» 2025年01月26日 10時00分 公開

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この記事は、塩見康史氏、なかむらアサミ氏の共著『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』(翔泳社、2023年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などはすべて出版当時のものです。

 ビジネスの世界で「心理的安全性」という言葉が広く知られるようになりました。組織の中で、メンバーが不安や恐れを感じることなく自分の考えを表現できる状態を指します。

 2025年がスタートし、今年から新たに部下を持つことになる読者の方も多くいるかもしれません。すでにリーダー業務に励み、日々、試行錯誤を続けている方もいるはずです。

 この記事は、心理的安全性の高いチームづくりを実践・支援する著者たちが、そのノウハウをまとめた著書『わたしからはじまる心理的安全性 リーダーでもメンバーでもできる「働きやすさ」をつくる方法70』(翔泳社、2023年)から、一部を抜粋し再構成したものです。

 リーダー業務に携わる読者の皆さんにとって、大いに参考となるはずです。今回は、メンバーが困ったときにヘルプを出しやすい環境をつくる工夫について、紹介します。

困ったときにヘルプを出しやすい環境とは? 写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:塩見 康史

スコラ・コンサルト プロセスデザイナー、作曲家。

早稲田大学第一文学部卒業後、20年以上、ビジネスマンと作曲家の"二刀流"を継続。ビジネスでは、大手小売業の人事マンを経て、2007年スコラ・コンサルトへ。組織イノベーション、企業風土改革、戦略アート、などが専門。また最近、自身の創作経験をビジネスに応用した「創造的思考トレーニング」の普及にも取り組んでいる。

なかむら アサミ

サイボウズ チームワーク総研 シニアコンサルタント。

法政大学大学院経営学研究科キャリアデザイン学専攻修了。経営学修士。教育、IT 企業で人事を担当し、2006年サイボウズ株式会社に「離職率が高いとは知らず」入社。人事、広報、ブランディングを担当し、現在は、小学生から社会人まで幅広い層にチームワークを教える活動をしている。


仕事の許容度を「お腹の具合」に例えて共有する

 わたしのチームでは、現在の仕事の許容度をお腹の具合に例えて、毎週の定例ミーティングで共有しています。

定例の日付 作成者 今週・来週の状況 相談
2023-02-01 和田 腹ペコです!
2023-01-25 中村 腹八分目
2023-01-25 志釜 腹八分目
2023-01-25 新島 腹八分目
2023-01-25 鬼頭 もう食べられません…
2023-01-25 森岡 腹ペコです!
2023-01-25 和田 腹ペコです!

 こうして共有することで、今チームのメンバーがどういう状況かが一目で分かります。

 お腹の具合以外にも、信号(青黄赤)で示したり、気分を天気(晴曇雨)で示したりするなど、チームによってさまざまです。こうして何かに例えたほうが、アラートを出しやすいというメリットがあります。

【言葉の変換の例】

  • これ以上仕事はできません! → もう食べられません
  • まあまあいっぱい or ちょうどいいです → 腹八分目
  • 余裕あります! → 腹ペコです!

(部下の声)アラートをあらかじめ出せるだけで、メンバーとしては安心できます。腹ペコ表現、ぜひやってみてほしいかも

 アラートを出すことと、それを一覧にする目的は次の2つです。

  • 今こういう状況だから手伝ってほしい、と本人が言いやすくなる
  • チームに追加の仕事が入ったときにリーダーとして対応がやりやすくなる

 「いいな」と思ったら、ぜひやってみてください。上記の図表のようにツールを使うほか、日報の冒頭や文末に書くなどでもできます。

 ヘルプを出しているメンバーが出てきたら、その会議の場や1on1の場などで詳細を確認しましょう。減らしたいものやなくしたいものを教えてもらい、そこから効率的な方法を話し合うのがベターです。

 具体的には「何に一番時間がかかっているか」「何がなくなる(減る)と少しラクになるだろう?」と聞いてみて、そこから改善案をお互い話し合うという流れです。

 メンバーのヘルプの無視・放置は絶対にやってはいけないことです。一緒に改善策を考える姿勢を示すことが、信頼されるリーダーへの1歩です。分担を考えたり、そもそも自部署でやるべきなのかを考えたりなど、メンバーのヘルプを業務改善のきっかけにしましょう。

(部下の声)ヘルプやアラートが出せない職場は、きついです。働き続けられないなぁと感じます

※図表は書籍をもとに編集部で作成



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