フジ・メディアHDの株価上昇は、不祥事という社会的非難の渦中にあっても、市場が収益性や資産価値だけを冷徹に評価する現実を浮き彫りにしている。
しかし、この風潮がより鮮明になれば、大企業は不動産などの安定資産を事業ポートフォリオに組み込むことで、ガバナンスや透明性の確保という社会的使命を軽視しても生き残れることになる。そんな「ハック」が主流になる社会では、国際社会から見放され市場としての魅力は落ちるだろう。
ガバナンスが軽視されてしまえば、最終的にはそのツケを国民が支払う可能性がある点も忘れてはならない。それは、ビッグモーターの不祥事が原因で自動車保険の保険料率が実態よりも割高となっていた事例などからも確認できる教訓である。
フジ・メディアHDが社会的信頼を回復するには、資産価値や割安感に頼るだけでは不十分だ。不祥事の原因究明と透明性を高める改革が求められる。それなくして今回の株価上昇は「長期的な企業価値向上」につながらないだろう。
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