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「こんな人が欲しいんです!」と力説する企業が、採用に苦戦するワケ(2/2 ページ)

» 2025年01月29日 07時00分 公開
[平田拓嗣ITmedia]
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採用戦略の王道

 採用戦略を立てる際、「Who(誰を採用するか)×What(何を訴求するか)→How(採用方法)」の順で考えていくのが王道だ。マーケティング手法と似ているかもしれない。

 筆者が採用担当者との面談で感じることは、WhoとWhatがあいまいなまま、Howの差別化に走る企業が非常に多いことだ。WhoとWhatがぼやけたまま数に走ることになり、採用が非効率になってしまう。

 採用ペルソナの具体的な設定や、自社の魅力が整理されていなければ、いい人材を採用することは難しい。

  • 「どこの会社の誰か」と名指しできるぐらいのWhoを定め、
  • 自社の何を話せば応募者に興味を持ってもらえるかWhatを磨き、
  • 競争相手が少ないチャネルを選び、どう採用プロセスを設計するかHowを適切にする

 内定承諾率の向上を狙うなら、まずはこの3つを整えたい。

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内定辞退者のフィードバックが承諾率を高める

 実際に、AIを搭載した内定承諾率向上ツールを用いて、それまで苦労していたエンジニア採用において成果を出したakippa(アキッパ)社の事例を紹介したい。

 アキッパではエンジニア採用において、内定承諾率の低さがボトルネックになっていた。面談でも自社の思いや魅力が十分に伝えきれていなかったため、ツールを導入した。

 面接を終えた候補者にアンケートを送付。回答内容をAIが読み取り、採用担当者が候補者に送る「オファーレター」の作成をサポートする。アンケートを基に、具体的な採用理由などを盛り込み、内定承諾率を上げることを狙った。

 導入後初のオファーは残念ながら辞退となったものの、採用担当者は「辞退する場合でもこんなに丁寧にアンケートに回答してもらえるのか」と驚いたという。こうした候補者によるフィードバックから自社の強みと弱みを洗い出し、選考プロセスや発信内容を見直した。オファーレターでも「なぜあなたに来てほしいのか」という理由を明記した。

 結果としてはエンジニア4人、人事担当1人の計5人の内定承諾につながった。「中でも事業を支えるテックリードとCHROの入社は非常に事業貢献度が高かった」と、採用担当者は振り返る。

 内定者は「『なぜあなたに来てほしいのか』『どこが良かったのか』というメッセージから、入社したときのイメージがわいた」「面接で実際に話をした人たちからのメッセージが、私の話を踏まえた内容で、心が動いた」という。

量から質重視へ データ活用で変わる採用現場

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 採用は量から質を重視するものに、企業側は人材から選ばれる時代へ変わってきている。

 企業は、募集するジョブに候補者がマッチするか、学歴や職歴だけではなく「企業文化によい影響をもたらすか」「信頼でき一緒に働いていきたいか」ということにも目配りするべきだ。

 候補者は、企業の成長性や、自身のスキルにマッチするかだけではなく「自分の価値観とフィットし、自分の強みを生かしながら生き生きと働ける会社かどうか」という視点も大事にしながら転職活動をしてほしい。

 双方の定性的な特徴を可視化し、データも踏まえたマッチングができれば、採用の現場は変わるだろう。

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