このほかにも、店の特徴がいくつかある。注ぎ方が異なる3つの黒ラベルを提供していることと、自分専用のビールグラスをキープできること(2月で終了)。
お客はスタッフに注文すると、このような言葉をかけられる。「グラスに10秒ほど冷水をかけ、ビールと同じ4度まで冷やしますね」と。その後、スタッフが店のこだわりを説明しながらビールを注ぐ。この一連の動作が“なめらか”なこともあって、スマホで動画を撮る人が多い。動画を撮影→SNSに投稿→動画を見てTHE BARを知る→お店を訪れる→動画を撮影……。
こうした循環が生まれているわけだが、それは国内だけにとどまらない。海外にも広がっていて、来店客の約3割は外国人だという。海外でもグラスにビールを注ぐお店はたくさんあるが、なぜ日本で動画を撮影するのか。
黒ラベルブランドマネージャーの黒柳真莉子さんに聞くと、「ふるまいに日本らしさを感じられているのかもしれません。まるでショーを見るかのように、来店される人が多いですね」と説明する。
筆者が取材に訪れたのは、平日の午後5時ごろ。ピーク時よりも少し早い時間にもかかわらず、店内は満席で、店の外でも「まだか、まだか」と待つ人がたくさん並んでいた。広報担当者によると「平日の営業時間は午後2時から、土日祝日は午前11時30分からですが、昼から満席になることも珍しくないですね」とのこと。
先ほど紹介したように客数も売り上げも伸びているので、店の運営は順調のように感じるが、課題もある。それは「新しいお客」だ。
THE BARを始めた理由は、黒ラベルを体験してもらい、新しいファンを増やすことにある。しかし「ビールがおいしかった。また行きたい」というお客が想定以上に多く、リピーターの割合が高くなっているという。こうした課題に対して、黒柳さんは「新しい情報を発信して、初めての来店者を増やしていかなければいけません」と語った。
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