やりすぎやん、スシロー! 鶴瓶のCM“抹消”は危機管理的にアリかナシか?スピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2025年02月05日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

なぜスシローは「悪手」を取ってしまったのか

 そこから2週間も経たないうちに、間の悪いことに今回の「鶴瓶切り捨て騒動」が起きてしまった。繰り返しになるが、現時点では鶴瓶さんには何の違法性も人権侵害も認められていない。週刊誌が「BBQに同席をしていた」と報じただけだ。

 警察沙汰になった俳優を引き続き起用し、応援することを決意表明したアイリスオーヤマと比べると、スシローの対応はあまりにも冷たく見えてしまう。「ああ、スシローにとっては鶴瓶さんはその程度の存在だったんだな」と感じた人も多いはずだ。

 こうした企業イメージも、案外尾を引く。ネットやSNSでは面白おかしく語られる格好の「ネタ」だからだ。

 以上のように、スシローの今回の対応は危機管理的には「悪手」だと言わざるを得ない。そこで、気になるのはなぜこうなってしまったのかということだ。

なぜスシローは今回の対応を取ったのか(画像はイメージ、出典:ゲッティイメージズ)

 いろいろなご意見があるだろうが、筆者は同社の中に「厳格な対応=危機管理」という誤解がまん延しているからではないかと思っている。過去に大きな不祥事や、危機が発生した企業というのは危機管理意識が非常に高くなるのが一般的だ。

 もちろん、それは素晴らしいことなのだが、その反動で「過剰な危機管理対応」になってしまう。筆者はこれを「オーバーツーリズム」ならぬ、「オーバー危機管理」と呼んで問題視している。

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