KDDIが経理のオペレーション改革にAIを活用し、得た成果とは。従来の業務プロセスから脱却を図る中で直面した課題、失敗と成功、今後の展望を語る。
日清製粉ウェルナは、AIを用いたシステムの開発・販売を手掛けるグリッド(東京都港区)と「冷凍食品の需給管理自動化システム」を共同で開発した。2024年10月から運用を開始しており、日々の在庫転送明細の作成時間を2時間から45分に短縮。在庫の計画策定とあわせて月間50時間程度の業務時間削減が実現したという。
「冷凍食品の需給管理自動化システム」は何ができるのか。また、導入により現場はどのように変わったのか。
日清製粉ウェルナの工場では、受注や出荷、在庫などさまざまな情報を元に計画的に冷凍食品を生産している。また、完成品は各地の倉庫を経由して店舗に納品するが、需要や各倉庫の在庫の状況に応じて、倉庫から別の倉庫に製品を「転送」することで、安定的に製品を供給できている。
今回開発した需給管理の自動化システムでは、需給計画(製造計画)と在庫転送計画の自動策定が可能になった。
同システムでは、まず過去の出荷実績と受注実績から月次の販売数量の着地見込表を作成。その見込表と現在の在庫数・工場の稼働スケジュールに従った需給計画を策定する。
次に、各倉庫への配車依頼台数を決定する配車計画と、倉庫間の在庫移動数を決定する在庫転送計画を策定。必要な配車台数は在庫状況に応じて随時更新され、どの製品を、どの倉庫からどの倉庫へ、何ケース送るかをシステムが自動計算する。
これまでは、冷凍食品の需給管理と配送に関する各計画の立案を専門の担当者が担っていた。だが、これらの計画予測の組み合わせは約1800パターンにも上るため、担当者に大きな負担がかかっていたという。
こうした背景の中、新システムの導入により、各計画の策定時間の短縮やオペレーションの効率化が可能となったほか、ノウハウの標準化によって業務の属人化と担当者不在時のリスクが解消した。
従来、計画策定業務には3日程度の期間を要していたが、1日程度での策定が可能に。また、日々の在庫転送明細作成時間も約2時間から約45分に短縮され、合計で月間50時間程度の業務時間削減につながった。
生成AIを活用した業務の効率化は喫緊の課題である。特に物流業界は人手不足が深刻で、テクノロジーによる業務改革は“待ったなし”の状態だ。日清製粉ウェルナの今後のDXの取り組みにも注視したい。
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