KDDIが経理のオペレーション改革にAIを活用し、得た成果とは。従来の業務プロセスから脱却を図る中で直面した課題、失敗と成功、今後の展望を語る。
2月4日、中国の低コストAIモデル「ディープシーク」の登場にもかかわらず、AI関連株ブームが続くとの主張を裏付けるために、欧州の投資家の間では160年前の経済理論に注目が集まっている。
ディープシークは高度な半導体を必要とせず大幅にコストが低いとされる。西側諸国の半導体メーカーやデータセンターへの巨額投資に疑問が投げかけられ、1月27日に世界各地でハイテク株が急落した。
AI銘柄の代表であるNVIDIA(エヌビディア)は17%下落し、時価総額が1日で6000億ドル近く吹き飛んだ。
その後、ハイテク株が反発し、欧州市場が最高値を更新すると、19世紀の経済理論「ジェボンズのパラドックス(逆説)」が市場で注目され始めた。
中国の新興企業ディープシーク(深度求索)が低コストで開発した生成AIを発表したことで、投資家はAI開発に巨額の投資を行っている米IT大手に厳しい目を向けつつある。写真は1月27日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)この理論は英国の経済学者ウィリアム・スタンリー・ジェボンズが提唱したとされ、ある資源の利用効率が向上すると、その資源の使用コストが下がるため、需要は減少するのではなくむしろ増加するという考え方だ。
ブラックロック・ファンダメンタル・エクイティーズ(EMEA)のヘレン・ジュエル最高投資責任者は「1月29日までは話題にもなっていなかったのに、突然どこでもこの話を聞くようになった」と話す。
同氏によると、この逆説は不確実性を浮き彫りにしているという。「ディープシークショック」に関する大きな疑問は、AI革命にはどれだけのエネルギーが必要になるのかという点だと指摘。データセンターとそのサプライヤーの需要が減少するかどうかが欧州の株式投資家にとって重要な問題だと述べた。
ディープシークショックは直接的なAI関連銘柄だけでなく、間接的な銘柄にも及んだ。オランダの半導体装置メーカーであるASML、ASMI、BEセミは7〜12%下落したが、1月27日から1週間で回復した。AIインフラ向けハードウェアを提供する独シーメンス・エナジーも売り込まれたが持ち直した。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOはXに「ジェボンズの逆説が再び現れた」と投稿し、次のように述べた。「AIがより効率的でアクセスしやすくなるにつれ、その利用は爆発的に増加し、われわれはこの技術なしではいられなくなるだろう」
J・サフラ・サラシン・サステナブル・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トマシュ・ゴジエク氏は、AIコストの低下はジェボンズの逆説の典型例となる可能性があるとの見方を示した。
「最終的には、これが新たなAI投資ブームを生み出し、特にソフトウェアや推論技術の分野で新たな機会を創出する可能性がある」と語った。
ライオントラストのグローバル株式チーム責任者マーク・ホーティン氏も、ディープシークショックによってAI投資に関する自身の見解がさらに強まったと述べ、ジェボンズの逆説に言及した。
アビバ・インベスターズのポートフォリオ・マネジャー、クナル・コタリ氏は「誰もがジェボンズの逆説の専門家になった」と語る。
英企業は主に生成AI技術の「消費者」であるため、AIによる生産性向上とコスト低下の恩恵を受ける公算が大きいと述べ、レレックス、LSEG(ロンドン証券取引所グループ)、エクスペリアンなどのデータやソフト関連企業のメリットが大きいとの見方を示した。
欧州のAI分野の投資は、データセンターとその膨大な電力需要を中心に進められてきた。
ノルデア・アセット・マネジメントのカスパー・エルムグリーン債券・株式部門CIOは「AIの普及と利用拡大には、ますます多くの半導体やデータセンターの容量と電力消費が必要になるという前提がある」と指摘。ディープシークはこの前提に疑問を投げかけ、より優れたソフトを開発することで何が実現できるかという問いを突きつけたという。
一方で、ジェボンズの逆説に懐疑的な見方も存在する。みずほEMEAのFICC戦略責任者ジョーダン・ロチェスター氏は、エヌビディアに対する強気派はジェボンズの逆説で安心感を得ていたが、エヌビディア株が急激に上昇した直後の短期的な状況では、この理論を用いて株価の上昇を正当化するのは説得力に欠けるとメモに記した。
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