永谷園の「カップお茶づけ」が好調 開発担当者に聞く、“このタイミング”で発売したワケ(2/3 ページ)

» 2025年02月19日 17時30分 公開
[三好一葉ITmedia]

“シンプルさゆえ”の課題

 「お湯を注ぐだけ」で調理可能なフリーズドライの米を用いれば、こうしたシチュエーションの制限はクリアできるように見える。しかしこちらは、「炊きたてのお米の食感」の再現が長年の課題となっていた。

 フリーズドライはもともと同社が得意としてきた技術で、インスタントみそ汁にも活用している。しかし米の場合、お湯に戻したときの味の再現が他の食材よりも難しいことから、長期保存を優先した「防災向け」の商品や、味の濃いスープの中に米が入っているような商品に利用が限られていた。

photo 2007年から販売している「『冷え知らず』さんの生姜参鶏湯カップ」。フリーズドライの米や生姜などが入っている

 一方でお茶づけの場合、だしと抹茶というシンプルな味付けだけに、「米のおいしさ」を確保することが重要となる。このため、十分に技術が確立できるまで社内で研究を重ねる必要があった。発売が「2024年」となった要因には、この課題の克服があったようだ。栗原氏は「永谷園の看板ブランドを、どうすればお客さまの信頼を裏切らずにおいしく提供できるか。この考え方が難しいところでした」と話す。

photo 新たに開発した製法「加圧高温炊き」(出所:プレスリリース)

 商品化にあたっては、これまでの研究の蓄積をもとに、炊飯器のトレンドでもある「加圧高温炊き」を用いた新技術を開発。お米の弾力や甘味を引き出せるようにした。さらに、フリーズドライにしても粒感やおいしさを感じられる米の銘柄を吟味し、「国産コシヒカリ」を採用。通常のお茶づけ海苔よりも具材をボリュームアップするなど、味付けのバランスも再設計したという。

photo パッケージは「写真を入れた方がいいのでは」などと試行錯誤したものの、最終的に「これだけで伝わる」と判断したという(同上)

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