では、具体的にどのようにして値上げに対するユーザーの不満を抑え、解約を防ぎながら収益を上げていくべきか。以下に主なポイントを示す。
1.値上げの正当性を明確に伝える
「人件費や物流費、コンテンツ制作費が高騰しており、サービスの質を維持するためにはやむを得ない」という事情を、分かりやすく腹落ちさせる必要がある。たとえば「年会費を上げないと、これまでのような低価格商品や迅速な配送が続けられなくなる」「今後の品質アップのための投資コストである」といった情報開示が有効である。
2.新サービスや特典を拡充し、“見返り”を提示する
値上げのタイミングで顧客に「今後こんな新機能や新コンテンツが追加される」「これだけのリターンがある」と示すことで、不満を和らげることができる。コストコなら新規店舗や新商品の拡充、Netflixならオリジナルコンテンツの大幅強化、Amazonプライムならプライム・リーディングやプライム・ビデオなどの新規ラインアップ追加が挙げられる。
3.差別化された独自の価値をアピールする
「ここでしか得られない体験」「他社にはない利便性」を打ち出すことで、値上げを許容してもらうこともできる。コストコは圧倒的な大容量・低価格のほか、倉庫型店舗という「テーマパーク的体験」も強みだ。NetflixやAmazonプライムはオリジナル作品の魅力を訴求することで、代替困難なサービスである点を強調している。
4.柔軟な価格プランを提供する
離脱リスクがある顧客のために、ライトユーザー向けプランや広告付きプランなどの選択肢を用意する事例が増えている。Netflixが広告付きの安価なプランを展開し始めたのはその一例だ。コストコもゴールドスター会員とエグゼクティブ会員の比較をあらためて周知し、利用頻度や購入金額に応じてプランを選べるよう促すのが効果的だ。
5.紹介キャンペーンやロイヤル顧客優遇策でリピート意欲を高める
値上げに納得して継続するほどロイヤルティーが高い顧客は、他の見込み客に対してもポジティブな口コミを発する傾向が強い。そのため、既存顧客の満足度を高める施策、あるいは既存顧客を通じての紹介インセンティブを強化し、離脱を最小限に抑えながら新規顧客を獲得する好循環を生み出すこともできるだろう。
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