「任天堂VS.株主」見ている未来は違う? 「スイッチ2」に市場が冷めた理由(2/7 ページ)

» 2025年02月21日 08時00分 公開
[草刈貴弘ITmedia]

スイッチ2に見え隠れするWii Uの失敗

 市場からスイッチ2が“期待外れ”とみなされた理由を説明するうえで、最初に任天堂の過去のゲーム機の販売傾向を振り返ってみたいと思います。

 歴史を見ると、新型機の登場によって既存機の販売台数は例外なく減少してきました。例えば、2004年にニンテンドーDSが発売されると、それまで主力だったゲームボーイアドバンスの販売台数は急激に落ち込みました。さらに、2006年にWiiが登場すると、ニンテンドーDSもその影響を受け、販売の勢いが徐々に衰えました。

 こうした流れの中で、特にWii Uの販売台数は伸び悩みが顕著でした。2012年末に登場したWii Uは、前世代のWiiの成功を引き継ぐはずでしたが、結果としてWiiほどの支持を得られませんでした。Wiiが累計1億台以上を売り上げたのに対し、Wii Uはわずか1300万台にとどまったのです。

 この要因の一つに、Wii Uのコンセプトが明確に伝わらなかったことが挙げられます。そのため、既存のWiiユーザーがWii Uへスムーズに移行せず、新規ユーザーの獲得にも苦戦したことで、販売が低迷したと考えられます。

「スイッチ2」表後に株価が下落した背景は?(出典:任天堂)

 スイッチ2の発表後に株価が下落した背景には、Wii Uの失敗が市場の記憶に残っていることも影響していると考えられます。市場は、スイッチ2がスイッチとどのように異なるのかを明確に認識できず、Wii Uのように買い替え需要や新規需要を十分に獲得できないことを懸念したのです。

 スイッチは、スイッチライトや有機ELモデルを投入しながら売り上げを維持してきました。ですが、スイッチ2という新型機が発売されることで、既存機の販売が落ち込むことは不可避でしょう。

 前述のようなWii U失敗の記憶があるからこそ、市場はスイッチ2に対して慎重になっています。それに加え、スイッチの販売期間が8年目に突入するほど長期化していることも、市場が「スイッチ2が本当にスイッチの人気を超えられるのか」とより厳しく見る要因となっています。

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