スイッチ2の発表直後こそ株価は下落しましたが、その後持ち直し、現在は過去最高水準となっています。これは、市場はスイッチ2の販売だけでなく、それ以外の要素にも期待を寄せていることを示しています。
この“それ以外の要素”を指摘したのが、米国の投資ファンド「バリューアクト・キャピタル」(以下、バリューアクト)です。バリューアクトは2020年に任天堂の経営戦略について提言し、大きな話題となりました。
ロイター通信の報道によると、バリューアクトはコロナ禍に入った2020年4月ごろに任天堂と接触し、企業戦略の転換を求める動きを見せました。当時、バリューアクトは日本市場への投資を強化しており、セブン&アイ・ホールディングスにも接触。その流れで任天堂にも積極的に関わり始めたとみられます。
バリューアクトは、任天堂に対し「ゲーム機の販売だけでなく、コンテンツをより広く活用すべき」と指摘しました。ポケモンやマリオなど、ディズニーやNetflixと並ぶ強力なIP(知的財産)を多数保有していながら、それを十分に活用できていないと見られていたためです。
実は、バリューアクトからこうした指摘をされる前の2015年に、任天堂はDeNAと資本業務提携し、スマホゲーム事業の強化を発表しています。また、2016年には米ユニバーサル・パークス&リゾーツと業務提携を結び、任天堂ゲームの世界観を体験できるテーマパークエリアを展開しました。
2018年には米イルミネーションとの協業による米国での映画制作や、サイバーエージェントのゲーム事業子会社「サイゲームス」との資本業務提携によるスマホ向けゲーム開発などを次々に発表しています。
しかし、バリューアクトが任天堂に接触した2020年当時は、これらの事業がまだ表面化しておらず、投資家から十分に評価されていませんでした。そのため、バリューアクトは「さらなる成長にはより積極的なIP活用が必要だ」と指摘したのです。
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