この記事は、博報堂が運営する“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信が2024年10月10日に掲載した「ゲームAIから考える、AIと人間の最適な関係性とは?」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
ゲーム業界におけるAI開発の第一人者であり、AIの本質を探究し、幅広くその技術を社会へ広める活動をしているスクウェア・エニックスの三宅陽一郎氏をゲストに迎え、博報堂DYグループの統合マーケティングプラットフォームの開発をリードする木下陽介氏とグループCAIO(Chief AI Officer)の森正弥氏が鼎談を行った。
三宅 陽一郎氏 スクウェア・エニックス
イノベーション技術開発ディビジョン リードAIリサーチャー
森 正弥氏 博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO
Human-Centered AI Institute代表
木下 陽介氏 博報堂DYホールディングス 統合マーケティングプラットフォーム推進室長
AIテクノロジーグループ GM、テクノロジスト
※社名・肩書はセミナー開催時のもの
──まずは、三宅さんのキャリアと現在の取り組みについてお聞かせください。
三宅: 私は現在、スクウェア・エニックスにおいて、デジタルゲームにおける人工知能の研究開発に携わっています。
――ゲーム業界におけるAI技術の開発や活用について、より詳しく教えてください。
三宅: ゲームAIの歴史は40年以上にわたりますが、現在では主に3つの重要なAIフレームワークが確立されています。
(1)キャラクターAI
これは自律的に意思決定を行うエージェントです。ゲーム内のノンプレイヤーキャラクター(NPC)の行動を制御し、プレイヤーとの自然なインタラクションを可能にします。
(2)メタAI
ゲーム全体を統括し、ユーザーの気持ちを読み取りながらゲーム体験を動的に調整します。プレイヤーの習熟度や好みに応じて、難易度や展開を変化させる役割を担っています。
(3)空間AI
ゲーム内の空間特性を把握し、地形や環境の情報を他のAIに提供します。これにより、キャラクターの自然な移動や、環境に応じた適切な行動が可能になります。空間そのものをAIエージェントとする技術を含みます。
これらのAIは単独でも機能しますが、連携することでより高度なゲーム体験を生み出します。例えば、空間AIがゲーム世界の詳細な情報を持ち、キャラクターAIやメタAIに提供することで、より自然で知的な振る舞いが可能になります。
三宅: 具体的な例を挙げると、1994年に3Dゲームが登場した際、AIの空間認識が大きな課題となりました。2D空間では比較的簡単だった経路探索が、3D空間では非常に複雑になったためです。これを克服するために、空間AI技術が発展し、キャラクターが自在に3D空間を活用した3D空間を活用した行動をするようになっています。この技術の基本的な部分は、現在では一般的なゲームエンジンに組み込まれるまでになっています。
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