みなさんは、料理をしていて「もう少ししょっぱくしたい」と思ったら、どのように対応するだろうか? 塩などで塩味を足す人が大半だろう。
サッポロビールの「サッポロ 男梅サワー 通のしょっぱ梅」は、通常よりもしょっぱさが増した商品だ。開発ではRTD商品開発AIシステム「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」を活用。単に塩を足すのではなく、AIのあるアイデアによって、通常の男梅サワーから塩分量をほとんど変えずにしょっぱさを強めることに成功した。
「N-Wing★からの提案は、どれも人間では思い付かないアイデアばかりでとても面白かったですね」
こう話すのは、「サッポロ 男梅サワー」企画担当の岩佐拓幸さん(マーケティング本部 ビール&RTD事業部)と、開発担当の永安弘樹さん(商品・技術イノベーション部)。AIの思いもよらぬ提案とは、一体どんなものだったのか。
今回の開発で活用したN-Wing★は、商品のコンセプトや目指す味わいをシステムに入力すると「どんな原料をどれだけ組み合わせるか」といった細かい配合を提案してくれるAIシステムだ。これまで販売した約170商品で検討した配合(約1200種)や原料情報(約700種)を含むレシピを学習している。
飲料は「ベース」と呼ばれる、砂糖やクエン酸といった香りをあまり持たない原料を組み合わせた液体の配合と、味付けの肝になる「香料」を組み合わせて開発する。N-Wing★はベースを1種類、香料の配合を100種類提案してくれる。
また、過去に販売した商品の中から、どれに近い味わいにしたいか類似商品を選択できる。類似商品にどれくらい似せるかというレベルも高中低で設定可能。類似商品の甘味、酸味、苦みといった五味に関する情報を数値化して表示されるため、新商品で目指す味わいによって甘味を増したり、酸味を減らしたりと微調整する。
男梅サワー 通のしょっぱ梅は、N-Wing★を活用して開発された最初の商品だ。N-Wing★はどのような提案をしてきたのか。
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