ここで留意したいのは、こうした流れで行われる再開発の目的だ。
端的に言うと、それは「国際競争力の向上」である。都市再生特別措置法の軸ともいえる都市再生基本方針には「都市再生基本方針は、我が国の活力の源泉である都市が、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化などの社会経済情勢の変化に的確に対応し、その魅力と国際競争力を高め、都市の再生を実現し、あわせて都市の防災に関する機能を確保することができるもの」でなくてはならないと明記されている。簡単に言うと、「強い日本」を作るということだ。
グローバル化が進む中、東京が国際的な都市としての立場を維持し、さらに発展していくためには、より強固なビジネスが都市に集まらなければならない。そのための再開発なのだ。これは、再開発を手がけるデペロッパー側の発言からも分かる。「国際競争力の強化」が大きく取り上げられているからだ。
森ビルの辻慎吾社長は「ヒルズを通じて、東京の磁力となり、国際競争力を高める都市づくりをめざす」と述べたと報道されている。また、東急不動産の公式Webサイトでは「私たちは、100年に一度といわれる渋谷再開発や、国家戦略特区に指定された竹芝エリアでの都市開発などを通じて、国際競争力の強化に取り組んでいます」と紹介されている。
こうした発言からも、現在進められている再開発は、激しい国家間競争を勝ち抜くことが目的となっていることが分かるだろう。
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