6割の企業が「DXで成果を出せていない」 成功のヒントをバックオフィスから探る(2/3 ページ)

» 2025年03月10日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

なぜ、DXは「うまくいかない」のか

 では、どのような課題があるのでしょうか、今回はバックオフィス業務に焦点を当てて整理したいと思います。バックオフィス業務とは人事、法務、労務、営業管理など、顧客と向き合うフロント部門を支える、本社の業務を指します。これらの業務を支援するソリューションがどれくらいあるのでしょうか。全てを網羅しているわけではありませんが、各分野のカオスマップに掲載しているソリューションの数を整理しました。

バックオフィス、分野別のソリューション数

 これだけツールがある中で、各社が選ぶのは各分野につき一つです。もちろん全てを比較するのは不可能ですから、絞り込んだ5つくらいのツールを比較し、自社に最も適切なツールを決定していきます。

 慎重に選定を行ったにもかかわらず、期待通りの成果を出せない企業が多い要因には何があるのでしょうか。その一つに「各ツールを横断して全体最適を導く視点が欠如している」点が挙げられます。

 それぞれのツールは各IT企業が高い知見を投入して開発したもので、業務効率化に貢献する部分を多く保持しています。しかし、あくまで業務内だけの話であり、隣接する領域との繋ぎ合わせに課題を抱えているのです。

 例えば、勤怠管理を考えてみましょう。まず、社員の業務開始を管理するために打刻管理ツールがあります。就業時間を記録するだけでなく、残業代を役職別に自動計算できるツールも必要でしょう。適切な給与計算ができたら、給与支払いや会計の販管費に反映させる必要も生じます。業務時間の内訳を分析するために、どの業務にどれくらいの時間を費やしたのか記録するツールも必要になるでしょう。

 これらツールを個々に導入すると、CSVファイルでデータを書き出し、別途管理や分析が必要になるケースが多くあります。エクセル管理をやめたくてシステム導入をしたのに新たなエクセルが発生してしまうという事態もあるのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR