デジタル技術の進化によって近年、至るところで目にするようになったデジタルサイネージ。ミニストップは、LMIグループ(以下LMI、東京都港区)が展開するリワード提供型リテールメディア「トクスルビジョン」(旧AdCoinz)を導入した。リテールメディアに注目が集まるばかりだ。
多くの会社がデータを切り売りして収益をあげているのに、データを提供する消費者はリワードを何も得ていない──。この課題から着想し、リワードによって還元する仕組みを実現したのがトクスルビジョンだ。LMIの共同創業者である望田竜太副社長にインタビューした。
Googleを中心とする「検索広告」、Facebookやインスタグラムに代表される「ソーシャル広告」に続き、Amazonを中心とした「第3のデジタル広告の波」といわれるのが「リテールメディア」だ。ECではAmazonが自社の消費者のデータを活用したEC広告など、膨大なトラフィックデータを有する小売業者が、自社で得られる「ファーストパーティデータ」を用いた広告ビジネスを展開している。
デジタルマーケティング事業などを展開するCARTA HOLDINGS(東京都港区)が発表した「リテールメディア広告市場推計・予測2021年−2027年」によると、新型コロナ禍が終わった2023年のEC事業者の市場規模は3405億円。それが2027年には7942億円と、約2.3倍に伸びるとしている。一方、店舗事業者の市場規模は同220億円から同1390億円と、6.3倍にも成長すると推測。両方合わせて1兆円規模の市場になると予測している。
LMIが開発したトクスルビジョンは、消費者へのリワード提供型広告を展開する新しいリテールメディアだ。消費者、広告主、リテールの3者を効果的に結び付けることが特徴で、リテールを訪れる消費者に、QRコードのスキャン、アプリのダウンロードなどのアクションを通じて、その場で使用できるクーポンといったリワードを提供している。
一方の広告主は、そのような購買意欲の高いリードの獲得と広告効果の評価に関するデータを収集。リテールは広告収益を得るほか、リワードを活用した追加の購入を期待できる仕組みだ。望田副社長は「広告主、リテール、消費者の三方よしのビジネスモデル」と胸を張る。同社はこの仕組みの特許も取得した。
LMIの収益構造は2段階制だ。「1段階目は、広告主は客が店内ディスプレイを視認することを前提とした最低出稿料を支払います。2段階目は、例えば、1ダウンロードあたり200円をLMIに支払うというものです」
リワードは、例えば200円のうち50円分を充てる。もちろん、契約内容で金額は変わるものの「リワードは広告費の一部に含まれていますから、広告主としての追加負担がないので、広告を出すハードルが下がります。1カ月100万円以下から始められます」
さらに「リテールの立場からすると、店舗に置いてない商品の広告を出してもらうことになりますが、自店で利用可能な割引商品を出してもらえるのなら、顧客満足度を高められます。割引を負担するのは広告主なので、自らの損益計算書の数字を傷めずに済むのです」とメリットを強調した。
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