ビジネスシーンでAI活用が広がっている。AIに学習させられるデータは、テキストや画像だけではない。実は有効活用できるにもかかわらず、多くの企業が気付いていない宝の山、それが「音声データ」だ。「音声×AI」を軸としたサービスを展開するRevComm(東京都渋谷区)の中村有輝士氏が、音声AIを活用したコールセンターのカスハラ対策について解説する。
前回の記事では、コールセンターにおけるカスタマー・ハラスメント(カスハラ)対策として、クレーム分析の手法やAIの活用方法を事例も交えながら解説しました。
今回は、企業がAIを活用してカスハラ対策を進める上でのポイントを整理し、未来のコールセンターの在り方について考察します。
BPOコールセンターに10年間勤務。オペレーター、スーパーバイザー、マネージャー、営業など一通りの業務を経験。
その後、外資の証券会社で、日本にある営業部門とシンガポールにあるカスタマー部門をマネジメント。
2020年7月よりRevCommに参画し、カスタマーサクセスのマネージャーを経て、コールセンター向けプロダクト「MiiTel Call Center」のプロダクトマーケティングマネージャーを担当。福岡県在住。
企業がAIを活用したカスハラ対策を進めるには、個人情報保護、運用フローの整備、リスク管理の3つの要素を徹底することが重要です。
AIを活用する際には、個人情報の漏洩(ろうえい)を防ぐ対策が不可欠です。
例えば電話対応の一部をボイスボットに置き換える場合、個人情報の取得方法や管理体制を適切に設計する必要があります。また、近年問題視されているのが「なりすまし」です。顧客情報を不正に取得し、第三者が本人になりすまして問い合わせを行うケースが増えています。このようなリスクを防ぐため、音声認証や生体認証などの技術を活用し、本人確認を強化することが求められます。
最新のセキュリティ技術を活用し、法律に準拠した保護体制を整えることが求められます。
AIを導入する際は、現状の運用フローの一部をAIに置き換えるという考えではなく、運用フロー全体を見直し、AIをどのように運用フローに組み込むかが大切です。
例えば、飲食店の電話予約にAIボイスボットの自動対応を導入する場合、予約管理の方法やネット予約との連携など、全体の運用フローの見直しが発生します。従業員がスムーズにシステムを使用できるようにマニュアルを作成し、必要なトレーニングを行います。
また、運用開始後も継続的なフィードバックを収集し改善を進めることでシステムの定着を促します。
AIシステム導入時には、発生し得るリスクを事前に想定し、適切な管理体制を整える必要があります。定期的な監査やシステムの見直しを行い、問題を早期に発見・対処できる仕組みを導入します。
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