岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。
国内でスターバックスの好調が伝えられる一方、世界では苦戦しています。2024年には米国本社のCEO交代もあり、どこに行っても混雑している国内とは反対に、経営の立て直し中なのです。
世界では苦戦しているのに、日本のスターバックスだけなぜ好調なのでしょうか。筆者は一消費者として世界中のスターバックスを利用しており、その違いは、ミッションに対してどこまで忠実なのかに尽きると考えています。
流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸が、マーケティングの視点から分析していきます。
この2月、米国のスターバックスが1100人の人員削減を発表したというニュースがありました。対象者は本社や管理部門を中心とするサポートパートナー職。また、数百件の採用を予定していたポジションも採用停止にするといいます。さらに、北米リーダーシップチームの体制を見直すだけでなく、ヴァイスプレジデントレベル以上の役職者に対して、週3日の出社義務を課すといった組織運営形態の見直しも始めています。
同じく米国のスターバックスでは、3月4日から「フラペチーノ」の一部や「ロイヤルイングリッシュブレックファストラテ」など、売れ行きが悪いものや作るのが難しいドリンクをメニューから外し、簡素化を図ると発表しました。
メニューの削減により、顧客の待ち時間を減らして短時間で商品を提供することを目指しているそうです。米国ではこのように、人と商品のリストラでなんとか業績回復しようと必死です。
なぜこのような状況に陥っているのでしょうか。まずはスターバックス全社の業績を見てみます。
全世界におけるスターバックス売り上げは、2024年9月期で日本円換算(1ドル=150円)すると5兆4264億円。前年度比で100.6%です。前年水準をギリギリでクリアしたことが分かります。原価は減少したものの販管費は伸びており、結果的に営業利益は前年度比で8%弱の減少、純利益も8.8%減です。
スターバックスは営業利益率が15%程度ある優良企業ですので「落ちている」といっても高い収益体質を維持しています。しかし、これまでの傾向とは明らかに異なる経営実態になり始めています。
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