パナソニックは「神様」の呪縛から脱却できるのか 新たに示した組織再編の課題(1/5 ページ)

» 2025年03月31日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役。横浜銀行勤務時代、全銀協へ出向した際はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。06年に支店長職をひと区切りに退社、現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーとともに情報通企業アナリストとして活動している。


 パナソニックホールディングス(HD)が、2024年度の第3四半期決算発表の席上で、大掛かりなグループ経営改革の実行を明らかにしました。このタイミングで大改革に取り組む最大の理由は、2022年4月に移行した持ち株制の下での戦略の進行に、齟齬(そご)が生じたことにあります。

 楠見雄規社長は「重点投資領域での不振」「各事業会社の成長投資が収益で結果を出せていないこと」「事業会社ごとの間接機能強化で全体の固定費が増大したこと」を、同社が解決すべき課題として説明しています。 

「大改革」を発表したパナソニックHD(出所:ゲッティイメージズ)

 足元、第3四半期決算の数字で見ると、連結ベースの売り上げこそ前年同期比1%減の2兆1526億円となったものの、営業利益では同4%増の1323億円。税引前利益でも前年同期同水準の1447億円を計上しており、決して危機的な状況にあるわけではありません。それがなぜ今、抜本改革なのでしょうか。

 その疑問をぶつけられた楠見社長は「当社は30年間成長できていない。投資をして一時的に販売が上がっても、すぐに棄損(きそん)することの繰り返し。市場からも厳しい目で見られている。赤字になってからではお金も時間も余裕がなくなるので、利益が出ている今こそ」なのだと、その理由を語りました。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR