危険を素早く伝えたり、安心感をもたらしたり、ブランドを印象付けたりと、さまざまな効果をもたらす音。それだけではなく、「待つ」ストレスを緩和し、待機時間の体験を向上させている音もあります。
ビジネスコラボレーションツール「Slack」では、ワンクリックで音声会話が開始できる「Huddle(ハドル)」という機能で、会話の参加者が1人しかいないときに音楽を流し、他の参加者が入るのを楽しみに待たせる工夫をしています。
多くの人にとって「待つ」という時間はストレスが溜まるもの。始まるまでの時間を「ただの待機時間」から「ちょっとしたリラックスタイム」に変え、ユーザーの心理的なストレスを減らし、良いユーザー体験を提供しています。
生成AIの活用がさらに浸透していくであろう今後、このような“ストレスを与えない工夫”をはじめ、さまざまな音が活用される未来が想像できます。
例えば、AIが大量のデータを処理している間にユーザーにストレスを感じさせない工夫として、音で進捗が分かるようにする。そうすることで、待機時間中に他の作業をしながら生成を待ってもらうことも可能になります。進行中であることを感じられるように徐々に音のテンポを上げたり、繰り返しの音が心地よいメロディに変化したりなど、進捗を示す音の「段階的な変化」で、AIの作業がどれくらい進んでいるのかをユーザーに知らせる工夫もできるでしょう。
また、AIがユーザーの状態をリアルタイムで解析し、最適な音体験を提供することもできそうです。例えば、スマートフォンがストレス状態を検知し、通知音を柔らかく変化させたり、パソコンが仕事モードとリラックスモードで異なる音を出したりなど。さらに、AIがユーザーの過去の行動や好みに基づき、リラックスを重視するタイプには穏やかなピアノ音や自然音を、集中したいユーザーにはインストゥルメンタル音楽や繰り返しの音を流すこともできそうです。こうしたカスタマイズにより、ユーザーの体験がより個別化され、満足度も高まるでしょう。
音が単なるフィードバックにとどまらず、環境や心理状態に適応するインターフェースの一部として機能する時代が近付いています。音と人との関係性そのものを設計する時代が、もうすぐそこに来ているのです。
※サムネイル写真はLINE公式Webサイトより
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