「夢の国なのに夢がない」「金持ち優遇か」など、さまざまな意見が噴出しているこの値上げだが、まずは冷静にその背景となっている事情を考えてみたい。
相次ぐ値上げの理由の1つには、光熱費や人件費をはじめとした諸経費の大幅な値上がりがある。こうした諸経費は多くの施設の運営に影響を与えているが、乗り物や装飾で多くの電気を使い、大人数のスタッフを必要とするテーマパークでは特に痛手だろう。帝国データバンクの調査によると、国内190の主要レジャー施設(遊園地・テーマパーク・水族館・動物園)のうち、2024年にチケットを値上げしたのは約2割となった。
2つ目は入場者のコントロールだ。特にTDRやUSJで顕著だが、コロナ禍をきっかけに、これまでの多すぎた入場者数をある程度制限しようとしている。観光立国を進める国の政策も相まって、ここ数年で外国人観光客が爆発的に増えていることもあり、テーマパークに入る人数を適正化する必要が生まれたというわけだ。
そもそも観光業全体の流れとして、それまで「量」を取っていたマスツーリズムのあり方から、「質」を重視する動きがある。つまり「客数」よりも、「客単価」を高めていこうという流れだ。テーマパークの値上げは、人口減少時代における観光の変化と連動した動きと見ることもできるだろう。
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