地方のコンビニを支えるフランチャイズ企業やオーナーたちが、現場に対してこれまで3人でやっていた仕事を1人でやれと命じる。睡眠時間や休みを削って1人何役でもやってもらう。つまり、「現場が命を投げ出すことで圧倒的な劣勢をはね返せ」という精神主義に傾倒していくのだ。
これは日本型組織の「あるある」で太平洋戦争末期に、敗退続きの日本軍が急速にブラック化して「兵士を使い捨て」にした原因も基本的にはこれと同じだ。
会議室で「どうすれば成長できるのか」と悩んでいる人たちは、セブンの現場を疲弊させている気などはもちろんない。しかし、市場の環境が大きく変わっている中で、過去のビジネスモデルや戦略に執着するということは、現場に「勝ち目のない消耗戦」を強いることなので、結果として「使い捨て」にしてしまっているのだ。
セブン&アイの経営陣は、今回の店長の労災を「セブン&アイグループ人権方針」に則って、この方針に合う形で対処すべきではないか。そして同様の犠牲者を増やさないためにも、「現場を犠牲にした拡大戦略」からの勇気ある撤退を決断していただきたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきたCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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