セブン店長が過労で命を落とした コンプラ重視の時代に“心を壊す人”が増えているのは、なぜかスピン経済の歩き方(5/7 ページ)

» 2025年04月09日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

かつて批判が相次いでいたセブンの戦略

 忘れている方も多いだろうが、セブンは今から6〜7年前、「ドミナント戦略」(同一商圏内に多くの出店することで地域内のロイヤリティーを高める戦略)と「24時間営業」というビジネスモデルの根幹をなす2つの柱について、見直すべきではないかという指摘が相次いでいた。

 きっかけは2019年2月、大阪にあるFC店のオーナーが、「深夜のアルバイトが集まらない」として、24時間営業をやめ、独自に19時間営業に切り替えたのだ。これに対し、本部が反発し、対立が起きた。そこからセブンの店長やバイトの「過重労働」が問題になり、経済産業省が「新たなコンビニのあり方検討会」を開催。こんな指摘が相次いだ。

 「コンビニ全体の売り上げは増加傾向にあるものの、一店舗当たりの売り上げは頭打ちとなっており、店舗数拡大で利益を上げるビジネスモデルは転換点に。店舗間の競争が激化し、オーナーにとって厳しい経営環境が出現」(第1回 新たなコンビニのあり方検討会事務局説明資料より)

コンビニ一店舗当たりの売り上げの停滞について(出典:経済産業省 第1回新たなコンビニのあり方検討会事務局説明資料)

 ちなみに手前味噌(みそ)で恐縮だが、筆者はこれ以前から以下のような記事で繰り返し、セブンにビジネスモデルの転換を勧めており、このままでいけば「壊滅的な危機」が訪れると予測していた。

 そして実際、2019年2月に「24時間営業問題」が火を吹いたことで予測が現実になったわけだが、ではセブン&アイがこの「危機」を受けて、これまでのビジネスモデルを転換したのかというと、まったくそんなことはない。

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