リーダーが多角的に物事や人を見て捉え方の選択肢を持つことは、チームや仕事に対していい効果を発揮します。
例えば、チームでの会議中、誰も意見を言わないという経験をしたときに、「主体性がない」と捉えたとします。すると、メンバーに不満を持ち、イライラした結果、さらに発言が出にくい状況を作ってしまうかもしれません。そこで、意見を言ってほしいという目的を達成するために、自分の捉え方に反論をして、他の捉え方も探します。そして、自分がどんな行動を取ればいいのかを考えます。
「主体性がない」と捉えることが悪いことではありません。でも、反論の結果、捉え方の選択肢を持つことができれば、変えられない相手ではなく、変えられる自分に目を向けた行動を起こすことができます。
「もっと主体的に意見を言ってください」とメンバーに伝えたところで変わる可能性は低いのではないでしょうか。それよりも、メンバーが意見を持てるようになる、意見が言いやすくなるようリーダー自身の行動を工夫したほうが状況を好転させられるはずです。その結果、メンバー自身が自分で考えて、意見を言うという行動を起こしてくれれば、自走していきます。
このようにリーダーが捉え方の選択肢を持ち、多角的に物事を考えるようになれば結果が変わります。メンバーとの接し方やコミュニケーションの取り方が工夫され、チームにいい効果をもたらします。これが「USJ」が表している、一人一人が行動を起こすための思考です。
メンバーがアイデアを出してきたときに、自分の常識の範囲で考えて否定するのではなく、受け止めた上で「もう少しそのアイデアを深めてみよう」と伝えることができれば、さらにメンバーが自らアイデアや意見を言うようになります。
笑顔になれないときこそ、行動で自分の感情を切り替え、メンバーに笑顔を向けることができれば、チームにポジティブなエネルギーが生まれます。メンバーが笑顔になれば、リーダーも心から笑顔になれます。
メンバーが他者や環境に不満を持ち、できない理由を探しているときに、できることへ目を向けられるよう働きかければ、問題解決につながります。困難な状況を1人で乗り越えることは難しいですが、「人が足りない中で私たちができることは何だろう」と一緒に考えることで前を向いて歩き出せます。その結果、目の前の状況が改善されることを経験すれば、メンバーは「できない」理由ではなく、自ら「できる」ことを探すようになります。
物事のポジティブ面に焦点を当てるか、ネガティブ面に焦点を当てるかは自分次第です。メンバーの課題ではなく強みに目を向けると、強みを生かした役割分担や強みを伸ばす指導につながります。強みを伸ばせばメンバーが自信を持って取り組めるようになり、仕事がおもしろくなります。自分もチームも目の前の状況をおもしろがることができれば、いい仕事、いい結果、いい成長を得ることができます。
USJのV字回復を実現したのは「人」です。変革期において迷いや葛藤がある中で、今何ができるのか、今何をすればいいのかを一人ひとりが考え実行したことで、人と組織が強くなった結果だと思っています。その軸となったのが「USJ」です。
リーダーも自走し、メンバーも自走することが自走型チームを作ります。メンバーがどのような考え方をするかはリーダーの言動によって変わります。リーダーが「USJ」を実践することで、メンバーにも浸透し、自走する力を生み、チームを強くします。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン事業会社に新入社員第1期生として入社。2010年に社内教育機関ユニバーサル・アカデミーを立ち上げ、初代学長としてV字回復期の人材育成に貢献。
2015年に独立。株式会社SmiLearnを設立し、自走する個人、自走するチーム作りを支援すべく、人材開発コンサルタント及び研修・講演講師として活動中。
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