1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手掛けたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレースを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務などを手掛ける。Twitterはこちら
米国の「トランプ関税」が2025年も再燃し、世界の金融市場を激しく動揺させている。そうした中、米国債利回りの突然の“急騰”が、トランプ政権の関税戦略にブレーキをかけたという見方が広がっている。
その立役者としてウワサされたのが、意外にも日本の農林中央金庫(以下、農中)だった。米国10年債利回りは4月6日に3.9%前後だったところから、一時4.5%超まで上昇した。
米国にとって長期金利の上昇は財政の大きな痛手である。2025年3月の米国連邦債務残高は約31.4兆ドル。年間利払い費は約6000億ドル(約90兆円)にも達し、金利が1%上がるだけで約9兆円もの追加負担が生じる。
金利の急騰で財政負担が重くなれば、景気を抑え関税政策を進めようとするトランプ前大統領の思惑は崩れる。
この予想外の金利急上昇が、関税政策の再検討を迫った可能性がある。こうした状況下で「農中が米国債を大量売却したのではないか」という憶測(おくそく)が市場を駆け巡ったのだ。
確かに農中は、2024年度中に含み損のある外国債券を約10兆円売却し、2025年3月期決算で1.5兆円の赤字を計上する見通しを2024年に公表していた。
当時、同庫の運用資産は約64兆円(2024年3月)で、直近では40兆円台にまで落ち込んでいるとみられるものの、依然として世界有数の機関投資家であることに変わりない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング