坂本氏と高木氏は、一連の引き継ぎ作業が「業務の可視化や棚卸しの機会になった」と強調する。
「日々の業務に追われていると、自分の仕事を俯瞰(ふかん)する機会ってなかなかないですよね。計画書は『この業務は本当に必要か』『他の人にも引き継げる形になっているか』を見直すきっかけにもなったようです」(高木氏)
引き継ぎにあたって、坂本氏は100以上の取引先に連絡したそうだが、「サポートの体制は整ってきている」と感じているとのこと。背景にあるのは、近年「チームプレー」に変化しつつあるという、同社の営業手法の変化だ。
「『洋酒』『ビール』といったカテゴリーごとに、1つのお得意先を複数人で担当する場合も増えてきています。営業職の場合、お得意先との信頼関係は確かに重要です。しかし『この部署だから取りにくい』『この部署だから取りやすい』という見方にも、ある種のバイアスが含まれていると思います」(高木氏)
高木氏は、育休取得を推進することで、別の効果も得られると指摘する。
「社員が病気にかかってしまったり、親の介護が必要になったりといった不測の事態は、どの部署でも起きうる話です。育休の推進は、育児支援だけが目的ではありません。業務の属人化を解消し、変化に強い組織づくりのきっかけにできると考えています」(高木氏)
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