そして今、Switch2という新たなハードウェアへの移行期において、任天堂はこの強力なIP資産を最大限に活用しようとしている。その鍵となるのが、「レガシーIP」の戦略的な再投入である。
「リズム天国」や「トモダチコレクション」といったタイトルは、主にニンテンドーDSやWii Uで人気を博した。これらのハードの主要ユーザー層は、現在30代から40代、まさにITmedia ビジネスオンラインの読者層とも重なる。彼らにとって、これらのタイトルは青春時代の懐かしい思い出と結びついている可能性が高い。
任天堂がこれらのIPをSwitch2で復活させる狙いは、まずこの「ノスタルジー」に訴求することにあるだろう。かつて夢中になったゲームが、最新のハードで、より美しく、より快適に遊べるようになる。これは、休眠していたファンを呼び覚まし、Switch2購入の強力な動機付けとなり得る。
しかし、任天堂の戦略は単なる懐古趣味にとどまらない。そこには、巧妙な「ファン層の世代交代」戦略が織り込まれている。
30代〜40代の親世代が、自分が若い頃に楽しんだ「リズム天国」や「トモダチコレクション」を、今度は自分の子供と一緒にSwitch2でプレイする。このような「世代を超えた共体験」は、任天堂が長年得意としてきたものだ。親が子供にゲームの遊び方を教え、一緒に笑い、時には競い合う。このプロセスを通じて、子供たちは自然と任天堂IPに親しみを持ち、新たなファンとなる。つまり、レガシーIPは、親世代から子世代へとブランドのバトンをつなぐための、重要な媒介役を果たすのである。
これは、マーケティングにおける「ファミリーライフサイクル」の考え方にも通じる。就職や結婚、出産などといった消費者のライフステージの変化によって、ブランドとの関わり方も変化する。任天堂は、かつての若者ゲーマーが親世代になったタイミングで、彼らが慣れ親しんだIPを「親子で楽しめる」形で再提供することで、ブランドとの関係性を再構築し、次世代へとつないでいこうとしているのだ。
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