百貨店の衣料品売場には多様な商品が大量に陳列されていますが、一般的には売場にある商品は、百貨店の在庫ではないのです。どういうこと? と思われるでしょうが、これはアパレル事業者の在庫であって、売れた時に同時にアパレル→百貨店→消費者へと所有権を移転して百貨店の売り上げ計上がされていました。
さらに言うと、売場の接客員もアパレル事業者のスタッフであることが大半です。(ちなみに今では会計基準の変更により、売り上げには計上せず、差益のみを計上するやり方に変わっています。ご興味があれば、「収益認識に関する会計規準」で検索してみてください)要は、小売は在庫リスクを負担せず、陳列場所を提供していたのであり、売残りリスクはアパレル事業者が負っていたということです。
この慣行は、高度成長時代、売場を確保しさえすれば売れたので、アパレルが大手小売に有利な条件を提示して売場の獲得競争をしたことから生まれています。当然、売れ残ればその分はアパレルの損失となるのですが、売り上げが拡大している局面ではあまり気にしなくてよかった、ということです。
しかし、損失は価格にオンされていきますので、過剰生産が増えると価格は高止まりするということでもあります。そして、バブル崩壊以降、右肩下がりの時代になると、売残り損失はどんどん大きくなり、コスパが下がって、さらに売れなくなる、という負のスパイラルが常態化していたのです。こうしたアパレル流通のひずみは、全量買い取り仕入で返品なしが前提のSPAのコスパを際立たせることとなり、SPA台頭の背景となりました。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
「ゲオのスウェット 658円」の衝撃 ペラペラなのに、なぜ「週に1万着」も売れるのか
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
“ヤンキー特化型”ドンキが大阪に上陸 ボンタン完売の店内はドキドキか、ギラギラかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング