くるくるくるくるくる――。
コンロに取り付けられたハンドルを回す。円を描くように回すたびに、ステンレスの筒の中の小さな粒が跳ね、ぶつかり、わずかな音を立てる。
「ん? 何のこと?」と思った人も多いかもしれないが、コーヒー焙煎機のことである。カセットコンロなどを扱う岩谷産業(以下、イワタニ)が開発したところ、コーヒー好きを中心に注目を集めているのだ。
商品名は「コーヒーロースター “MY ROAST”」(希望小売価格5万5000円)。応援購入サイト「Makuake」で販売したところ、850人以上が購入し、売り上げは4100万円を超えた(5月12日現在)。
購入者からは「これまで手網で焙煎していたが、思うような風味を出せず挫折していた。1日も早く試してみたい」「カセットコンロで焙煎でき、テストスプーンでチェックできるのがうれしい」といったコメントが寄せられているが、そもそもイワタニはなぜ”畑違い”ともいえる商品を開発したのだろうか。
開発のきっかけは、設計などを手掛けた阿部周作さんの思い出が関わっている。大学時代、親から頼まれて近所の焙煎所へコーヒー豆を買いに行ったときのことだ。「待ち時間にコーヒーを1杯いただけるのですが、その焙煎したてのコーヒーがとにかくおいしかった」(阿部さん)
その記憶が心に残っていて、なんとかこれをカセットコンロで再現できないかと考え、開発がスタートした。3年前のことである。
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