万博効果で今やホテル価格は「東京超え」の大阪 まだまだ値上げが続きそうなワケ(1/3 ページ)

» 2025年05月14日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 大阪のホテル価格が高騰している。5月は平日でも1部屋1万5000円以上し、土日はさらに跳ね上がって3万円以上の部屋も増える。駅チカであれば、高級ホテルでなくても4万〜5万円以上はざらだ。2カ月先で探しても価格は以前より高い。

 需要を押し上げているのは大阪・関西万博だ。国内観光客のほか、海外の政府関係者や企業関係者も訪れており、高級ホテルの需要も高い。

 さらに、万博閉幕後も価格は戻らないかもしれない。万博会場の夢洲ではカジノを含む統合型リゾートの建設が始まっており、30年の開業後は大阪の観光客がさらに増える可能性がある。価格はなぜ高騰し、今後どう推移するのか、大阪のホテル事情について分析していく。

「大阪」のホテルが都内よりも高騰している(出所:ゲッティイメージズ)

大阪のホテルは、今や都内より高い

 インバウンドの増加で東京のホテル価格は高騰している。売れた客室当たりの単価を表すADR(客室平均単価)は2024年末に2万円近くまで上昇した。平日のシングルでも1万円以下の部屋はなく、カプセルホテルでも9000円台の部屋が現れている。

 大阪の客室単価は東京より低い水準が続いていたが、昨今では価格が高騰。現在の相場は東京より高い。新大阪などターミナル駅近辺の部屋は平日シングルでも1万5000円以上し、土日は3万円が最低ラインだ。土日で2万円台に抑えるには大阪市ではほぼなく、北は茨木や高槻、南は堺まで離れなければならない。大阪のアパホテルは昨年の同時期と比較して1.5倍高騰しているという。

 価格が高騰しているのは、万博で需要が高まっているためだ。参考までに大阪市内の「東横イン」で部屋を探してみると、平日は1万5000〜2万円で、土日は部屋が埋まっていることも多い。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ