では、なぜパナソニックと日本の「苦境」はこれほど似通ってしまったのか。いろいろな意見があるだろうが、個人的には「高齢化によって現状維持を望むプレーヤーが増えてしまった」という同じ問題を抱えていることが大きいと考えている。
まず、「高齢化」という点では、パナソニックと日本はほぼ同じ状況だ。「データで見るパナソニックグループのDEI」によると、同社従業員の年代別の割合は、20代が14%、30代が16%、40代が21%、60代が9%と続き、なんと50代だけは「41%」とずば抜けて多い。
楠見社長も述べているが、パナソニックは「50歳代が非常に多い」のだ。
実はこの特徴は、日本にもまんま当てはまる。国立社会保障・人口問題研究所の「人口ピラミッド」を見れば分かるように今、生産年齢人口、つまりこの国の中の労働者の中で最も多いのは50代だ。50歳が100万人近くいるのに対して、25歳は60万人程度しかいない。
つまり、今の日本は「50代が異常に多い社会」なのだ。
このような話を聞くと、「パナソニックや日本が成長できないのは、われわれ50代が足を引っ張っているというのか」と不愉快になる人も多いかもしれないが、筆者も50代だし、「おじさんディスり」をするつもりなど毛頭ない。
パナソニックの中でもさまざまな事業で活躍している50代がたくさんいるはずだ。これまでの経験を生かして後進の育成をしている人もたくさんいる。日本社会の中でも同じだ。
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