筆者が指摘したいのは、個々の能力や努力の有無ではなく、この年代になるとどうしても「現状維持を望む人が増える」という現実である。
例えば、パナソニックの50代社員がどんなに有能で、仕事ができても「現状維持志向が強い」という傾向は否定できない。
先ほどの「データで見るパナソニックグループのDEI」によれば同社の従業員の勤続平均年数は男性が20.7年、女性が19.4年。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、企業全体の平均勤続年数は12.7年であり、それと比較すれば、パナソニックがいかに「働きやすい会社」であるかが分かる。
ただ、それは裏を返せば「定年退職までどうにか会社にしがみつこうとする人」も他社に比べて多いということだ。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、年齢階級別の「転職入職率(在籍する労働者数に対する転職者の割合)」は「25〜39歳」の男性が15.3%なのに対し、「50〜54歳」の男性は5.1%、「55〜59歳」の男性は5.7%に過ぎない。
つまり「50代からの転職活動は難しい」という現実があるので、この年齢になるとほとんどの社会人は、新しいチャレンジなどのリスクを回避して、今の会社で定年退職まで無事平穏に働こうという人がどうしても多くなってしまうのだ。
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