1990年代以降、日本が成長できず「失われた30年」と呼ばれていることは、今さら説明の必要がないだろう。理由としては「消費税が悪い」「緊縮財政が悪い」などさまざまな主義主張があふれているが、客観的なデータから明らかになっているのは、パナソニックと同様に「1人当たりの生産性」が極めて低いことだ。
日本生産性本部が2024年12月に発表した「労働生産性の国際比較2024」によると、2023年の日本の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、9万2663ドル(877万円/購買力平価換算)。ハンガリー(9万2992ドル/880万円)やスロバキア(9万2834ドル/879万円)といった東欧諸国とほぼ同水準だ。OECD加盟38カ国中32位で、主要先進7カ国で最も低くなっている。
しかも、「投資をしても棄損することの繰り返し」という蟻地獄にハマっている点も共通している。例えばOECDデータによれば、2015年の1人当たり労働生産性は7万4315ドル(783万円)でOECD加盟35カ国中22位だった。
こうした状況を受け、政府は「生産性向上」を国策として掲げ、2018年に「生産性向上特別措置法」(現在は中小企業経営強化法)を成立。「中小企業生産革命推進事業」などにガッツリ予算を組み込んで今に至る。令和7年度と令和6年度の補正予算を合わせると、6681億円になる。
では、このように生産性向上へ向けた投資をした結果どうなったかというと、先ほど見たように、2023年度はOECD加盟38カ国中32位まで転落した。他国にどんどん追い抜かれてしまっているという部分もあるが、いくら公金をバラまいたところで生産性向上につながらないのだ。
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