この記事は『自動車ビジネス』(鈴木ケンイチ/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
いまの日本は、ミニバンが大人気です。箱形ボディに多人数を乗せるクルマがミニバンとなります。特に日本では両側スライドドアを備えるタイプが人気となっています。本来的には3列シートが基本になりますが、いまの日本には、スライドドアに2列シートというスタイルも数多く存在しています。
どれだけ日本でミニバンが売れているかといえば、2024年の登録車の新車販売ランキングでは、3位の「シエンタ」、5位の「フリード」、7位の「セレナ」、8位の「アルファード」、10位の「ヴォクシー」とベスト10のうち5モデル、つまり半分を占めます。軽自動車では、1位がホンダの「N-BOX」、2位がスズキ「スペーシア」、3位がダイハツ「タント」と、ベスト3すべてが両側スライドドアの2列のミニバンとなります。
こういう国は先進国で他にはありません。日本だけの現象です。
もちろん日本が最初からミニバン王国であったわけではありません。歴史を振り返れば、最初に主流となったのはセダンです。庶民にクルマが普及するのをモータリゼーションと呼びますが、それが日本で発生したのは1960年代。
そこでヒット車となったのは、トヨタの「カローラ」であり、ライバルの日産「サニー」でした。上級クラスではトヨタ「クラウン」と「コロナ」、日産の「セドリック/グロリア」「ブルーバード」と「スカイライン」が売れていました。これらは、すべてが「セダン」を基本とするモデルです。
セダンのすぐあとに人気を集めたのが、ドアが左右に2枚だけのクーペです。かっこいいクルマとして注目されます。さらに60年代にはトヨタ「2000GT」をはじめマツダ「コスモスポーツ」など本格スポーツカーも登場しています。ただし、これらクーペや本格スポーツは人気こそ高いものの、たくさん売れたわけではありません。売れ筋は4ドアでした。
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