大阪・関西万博の会場から約100キロ離れた徳島港(徳島市)のフェリーターミナルでは、観光客数人が「徳島県への招待状」と記されたチケットを手にしていた。
チケットは万博会場の徳島県ゾーンを訪れた人に同県が配布したもので、徳島までの往路の交通費が一律500円になる。県によると、万博来場者に徳島県を訪問してもらう狙いがあり、6月1日時点で約2万5千枚を配布し、延べ926人が実際に使用した。
県万博推進課の担当者は「交通費割引の原資として約2500万円を確保し、約7500人に使ってもらえる計算」と説明する。ただ、予算に対する使用率は10%台にとどまり、担当者は「夏休みの“ブースト”に期待している」と話す。
万博の経済波及効果について、アジア太平洋研究所(APIR)は会場外の大学や研究施設、観光地をパビリオンに見立て、万博来場者の周遊を促す「拡張万博」を実現することで約3兆4千億円の効果を予測するが、大阪以外への波及効果は不透明な状況だ。
万博は期間中の来場者想定を約2820万人としており、達成には1日平均15万人以上が必要。APIRの稲田義久研究統括は、1日の来場者が15万人を超えたのが開幕以来4日しかなく、6月下旬から1週間の来場者数が減少に転じたことを不安視する。「期待通りの経済効果には、まずは入場者数の目標達成が欠かせない」とした上で、「残り3カ月しかない。『万博は成功だった』とするためにも、来場者が再訪したくなるコンテンツのさらなる造成が必要」と強調した。
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