現在クレディセゾンでは、「3層構造」でデジタル人材を育成している。
レイヤー1が外部から採用したプロのエンジニア、レイヤー2が社内公募のリスキリング人材、レイヤー3が一般社員の市民開発者だ。
それぞれには、明確な役割がある。レイヤー1は技術革新を担い、レイヤー2は現場との橋渡し、レイヤー3は日常業務のデジタル化を推進する。特に注目すべきは、レイヤー3の市民開発者育成だ。
「今の時代、ほとんどのビジネスパーソンはExcelでデータを整理し、PowerPointで資料を作れます。市民開発者は、そこから一歩進み、ダッシュボードなどを作成し、データを可視化できる人たちです」
この市民開発者の定義が、生成AIの普及に伴い変化してきた。今はAIに『Excelでこういうグラフを作りたい』と指示を出すと、適切な答えが返ってくる時代。プログラミングの専門知識がなくても、簡単な開発なら誰もができるようになった。
「フェーズ1はスモールスタートで内製チームを作る、フェーズ2は情シスと内製チームをバイモーダルで一体化して全社DXを進める、フェーズ3で市民開発者育成を推進してきました。フェーズ4が『CSAX』(AIトランスフォーメーション)です」
CSAXの核心は「AIを前提とした全業務の再設計」にある。
「例えば、これまでは何か新しいツールを使ってデータ分析をしたいと思ったら、まずはその使い方を覚える必要がありました。でも生成AIが出てきた今は、『こういうダッシュボードを作りたい』と言葉で伝えると、AIが手伝ってくれます。必要なのは技術的スキルよりも『何を可視化したいか』を明確に伝える力なんです」
これからの時代は、ツールを使うスキル以上に、ビジネス課題を正確に定義し、解決策を構想する力がより求められる。
「特に市民開発者は、技術の詳細は知らなくても『お客様のためにこうしたい』『業務をこう効率化したい』と意図を持ち、AIを活用できる人が活躍すると考えています」
【お詫びと訂正:2025年7月23日午後4時 本文初出で、システムの外販について「5年で150億円の大きな収益を見込んでいる」としておりましたが、正しくは「5年で150億円の売り上げを見込んでいる」でした。訂正してお詫び申し上げます。】
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