DXの“押し付け”がハラスメントに!? クレディセゾンのデジタル人材育成を成功に導いた「三層構造」とは見えない圧力(3/3 ページ)

» 2025年07月23日 06時00分 公開
[仲奈々, 大村果歩ITmedia]
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「3層構造」のデジタル人材育成

 現在クレディセゾンでは、「3層構造」でデジタル人材を育成している。

 レイヤー1が外部から採用したプロのエンジニア、レイヤー2が社内公募のリスキリング人材、レイヤー3が一般社員の市民開発者だ。

 それぞれには、明確な役割がある。レイヤー1は技術革新を担い、レイヤー2は現場との橋渡し、レイヤー3は日常業務のデジタル化を推進する。特に注目すべきは、レイヤー3の市民開発者育成だ。

 「今の時代、ほとんどのビジネスパーソンはExcelでデータを整理し、PowerPointで資料を作れます。市民開発者は、そこから一歩進み、ダッシュボードなどを作成し、データを可視化できる人たちです」

 この市民開発者の定義が、生成AIの普及に伴い変化してきた。今はAIに『Excelでこういうグラフを作りたい』と指示を出すと、適切な答えが返ってくる時代。プログラミングの専門知識がなくても、簡単な開発なら誰もができるようになった。

 「フェーズ1はスモールスタートで内製チームを作る、フェーズ2は情シスと内製チームをバイモーダルで一体化して全社DXを進める、フェーズ3で市民開発者育成を推進してきました。フェーズ4が『CSAX』(AIトランスフォーメーション)です」

 CSAXの核心は「AIを前提とした全業務の再設計」にある。

 「例えば、これまでは何か新しいツールを使ってデータ分析をしたいと思ったら、まずはその使い方を覚える必要がありました。でも生成AIが出てきた今は、『こういうダッシュボードを作りたい』と言葉で伝えると、AIが手伝ってくれます。必要なのは技術的スキルよりも『何を可視化したいか』を明確に伝える力なんです」

 これからの時代は、ツールを使うスキル以上に、ビジネス課題を正確に定義し、解決策を構想する力がより求められる。

「特に市民開発者は、技術の詳細は知らなくても『お客様のためにこうしたい』『業務をこう効率化したい』と意図を持ち、AIを活用できる人が活躍すると考えています」

クレディセゾン CDO兼CTOの小野和俊氏

【お詫びと訂正:2025年7月23日午後4時 本文初出で、システムの外販について「5年で150億円の大きな収益を見込んでいる」としておりましたが、正しくは「5年で150億円の売り上げを見込んでいる」でした。訂正してお詫び申し上げます。】

この記事を読んだ方に 老舗メーカー、驚異の全社DX

厨房機器の製造・販売を手がける中西製作所は、5代目社長の就任を機にDXへと大きく舵を切りました。非IT企業でありながら、なぜここまで全社的にデジタル活用を浸透させられたのか──。背景にある「トップの哲学」と、「横展開が進む仕掛け」とは?

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