クレディセゾンが、経済産業省の「DX銘柄」に3年連続で選出された。2019年に立ち上げた同社の内製開発チーム「テクノロジーセンター」は、スマホアプリの内製化から始まり、ついには基幹システム刷新まで社内で手掛けるようになった。そして、2024年度からは、システムの外販を開始。5年で150億円の大きな売り上げを見込んでいる。
華々しい成果の裏側には、苦労も多かった。“攻め型”の「テクノロジーセンター」と、“守り型”の既存のIT部門で、さまざまな衝突があったという(※)。この課題にどう向き合い、カルチャーの異なる2つの部門の協力体制を築き上げたのか。クレディセゾンCDOの小野和俊氏に話を聞いた。
※コスト削減や効率化を重視する「守りのIT」は「モード1」、ビジネス環境の変化に応じ、柔軟性やスピードを重視する「攻めのIT」は「モード2」と呼ばれている
同社が3年連続でDX銘柄に選ばれた理由について聞くと、クレディセゾンのDXが年々深化していく軌跡が見えてきた。
「2023年の初選出時は、DX戦略の全体像が評価されました。内製チームの役割拡大、デジタル人材の3層構造、経営層のリーダーシップ。こうした要素が総合的に評価されたと受け止めています」
翌年、焦点はより具体的な成果へと移る。特に注目されたのは「全社員の巻き込み」だった。ITの専門部隊だけでなく、総合職も巻き込んで市民開発者を育成している点が評価されたという。
「Excel、Word、PowerPointの延長線上で、ダッシュボードを自分で作れるように。『エンジニアじゃなくても、こんなことができるんだ』という発見がありました」
もう一つの評価ポイントは意外なものだった。
「一見すると“地味”な業務の自動化を徹底的に進めたことですかね。DXというと派手な変革を想像しがちですが、手作業の自動化という確実に成果が出る取り組みが評価されたことは、意外でもありうれしくもありました」
そして2025年。注目を集めたのは、「無謀」とも言える技術的挑戦だった。
「クレジットカード基幹システムを包み込む社内API基盤『オープンGW』の内製化です。実は途中まで、基盤はメインフレームで、100%ベンダー開発で進める予定でした。しかし、要件定義も終わり、開発にも着手していたところをいったん止めて、内製開発、クラウド型に切り替えたんです」
これまでにない挑戦に、社内外から疑問の声が上がったと言う。だが現場の意志は固く、「ここで妥協したら、あと5年は動けなくなる」という危機感もあり、大幅な方針変更に踏み切ったそうだ(※2)。
※2参照:小野氏のnote参考
この方針変更は成功。これからは外販を強化し、5年で150億円の売り上げを見込んでいるという。
DXの“押し付け”がハラスメントに!? クレディセゾンのデジタル人材育成を成功に導いた「三層構造」とは
Geminiを業務で使いこなす! Google Cloudが指南する「プロンプト入力」4つのポイントは?
ミスしたのに「定時で帰る」部下 しわ寄せに苦しむ中年に、会社がすべき対応は?
窓際でゲームざんまい……働かない高給取り「ウィンドウズ2000」が存在するワケ
案件減らし売上2倍に アドビの最強インサイドセールス部隊は、いかに大口受注を勝ち取るのか
優秀な営業マンにあえて「売らせない」 オープンハウス流、強い組織の作り方Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング