えっ、QUICPayが伸びてる? カード撤退ラッシュの裏で取扱高20%増の真実「ポイント経済圏」定点観測(2/6 ページ)

» 2025年08月05日 06時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

Apple Payへの早期対応が生んだ20年目の成長

 QUICPayは2005年4月にサービスを開始した。当初はプラスチックカードが主流だったが、2016年〜18年にかけてのApple PayとGoogle Payへの対応が、大きな転機となった。

 この早期対応が、現在の成長の基盤となっている。JCBブランド事業統括部門でQUICPayとタッチ決済の両方を所管する中村満隆次長は「業界の中でも、最も早いタイミングで対応できた」と振り返る。ガラケーのおサイフケータイ時代に培った技術が、スマホ決済時代への円滑な移行を可能にしたのだ。

QUICPayと併せてJCBのタッチ決済についても戦略面を担当する、ブランド事業統括部門モバイル・バリューペイメント部の中村満隆次長(筆者撮影)

 2016年には「QUICPay+」も開始。1回当たりの利用上限額を従来の2万円からカード会社が自由に設定できるように拡張した。これによりデビットカードやプリペイドカードでも利用可能になり、利用者層の拡大につながった。

 モバイルバリューペイメント部の松本友美副主事は「デビットカードやプリペイドカードにもひも付けられるようになり、発行会社も増えてきている」と説明する。

 現在は「大多数がモバイル」(中村次長)という状況だ。Apple PayとGoogle Payへの早期対応により、QUICPayはスマホ決済の普及という追い風を最大限に活用できたのである。

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