アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。
OpenAIの新モデル「GPT-5」シリーズがついにリリースされた。モデルの自動選択機能の追加や旧モデルの一括廃止など、ChatGPTの使い方は大きく様変わりしている。精度の向上はもちろん、操作性や各プランの提供内容にも変化があり、ビジネス現場での活用の在り方にも変化が起こりそうだ。
本記事では、この大型アップデートを業務で最大限活用するために知っておきたいポイントを、実際の出力例とともに解説する。
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
GPT-5シリーズには、汎用型の標準モデル「GPT-5」のほか、複雑な質問に答える「GPT-5 Thinking」、より複雑なタスクに対応できる「GPT-5-Pro」、軽量・小型版の「GPT-5-mini」の4モデルが用意されている。
有料プラン加入者にとって、従来と大きく変わるのがモデル選択だ。
モデル選択で「Auto」を選んだ場合、すばやく回答する「Fast」、推論しつつ短時間で回答が可能な「Thinking-mini」、じっくり考える「Thinking」からプロンプトに応じて自動で切り替えられる。その都度モデルを選ぶ必要がなくなったのがメリットだ。
これまでのChatGPTはモデルの種類が非常に多く、ユーザーはそれらの中から適切なものを用途に応じて選ぶ必要があった。出力結果の差異が分かりづらいモデルもあり、十分に使い分けられていなかったというユーザーも少なくないだろう。
今後は、そんな「地味に面倒」なプロセスだったモデル選択が不要になった。「何も考えずに使っても最適な回答が得られる」ようになったことは意外と大きな変化だ。
また、有料プラン加入者の場合、任意のモデルを確実に使いたい場合にはこれまで通りモデルセレクタから選ぶことも可能だ。
なお、無料モデルの場合はGPT-5の利用回数が制限に達すると、自動でGPT-5-miniに切り替わる。これは、従来のGPT-4oとGPT-4o miniの切り替えの挙動と同様だ。無料で利用できる回数上限は公式に明示されていないが、筆者の手元の環境で確認したケースでは、10回送信した時点で制限がかかり、5時間後に解除される旨のメッセージが表示された。
各モデルでは、実際にどの程度出力結果に違いが出るのだろうか? いくつかのプロンプトで比較してみた。
まず、日常業務での情報収集やツールの使い方を調べるといった用途の場合、比較的シンプルな用途では、GPT-5とGPT-5 Thinkingの間にそこまで大きな差がみられず、基本的にGPT-5で問題ないという印象だ。
例えば、生成AIの今後を予測するプロンプトではGPT-5とGPT-5 Thinkingは同程度の情報量となった。一方でGPT-5 miniは内容が浅くなり物足りない印象だ。そしてGPT-5 Proは出力に時間がかかるものの、情報の精度が明らかに向上した。
【プロンプト】
生成AIの今後について、最新の情報を踏まえて分析・予測して
【回答】
そして、やや複雑な情報を整理するような用途では、GPT-5とGPT-5 Thinkingの間に差異がみられた。ここでは、状況が二転三転する複数の会議メモの内容を整理して最新の決定事項や未確定情報を洗い出すタスクで比較してみた。
確定情報についてはGPT-5、GPT-5 Thinkingともに洗い出しができているものの、変更履歴や未確定事項まで分かりやすく整理できたのはGPT-5-Thinkinだった。また、GPT-5 miniについては一部が正しく回答できていなかった。
【プロンプト】
5つの会議メモに、以下の内容が記載されています。
会議A(4月15日)
会議B(5月12日)
会議C(5月28日)
会議D(6月5日)
会議E(6月30日)
メモの内容を踏まえ、各製品の国内・海外の最新の発売日および、現時点および発売時点の担当者、イベントの日程と場所を整理してください。また、不足している情報があればそれも指摘してください。
【回答】
このような用途の場合、GPT-5-Thinkingを使った方がいいだろう。モデルが自動選択されるようになったとはいえ、選択されたモデルの出力結果が不十分なこともある。まずは自動選択で出力し、回答精度が物足りない場合にGPT-5 Thinkingに切り替える使い方が基本となりそうだ。
なお、過去モデルとの比較で考えると、比較的シンプルな用途については従来のo3モデルの精度に近い回答がGPT-5で得られている印象だ。o3はGPT-5登場以前の上位グレードに位置付けられた推論寄りのモデルだ。それと同等水準の出力が、汎用モデルであるGPT-5でも実現できるケースが増えている。
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