Excelでエラーが出た→「Web検索で解決」は終わりに 「サイドバーのAI」に聞く方法その悩み、生成AIが解決

» 2025年05月16日 07時00分 公開
[酒井麻里子ITmedia]

連載:その悩み、生成AIが解決

アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。

Q.Excelでエラーが出たけれど、原因や直し方が分からない。毎回Web検索するのは面倒。もっと簡単に解決できない?

 Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシートには、サイドバーから生成AIを呼び出し、質問や対話のできる機能が用意されている。利用対象のプランに加入していれば、問題が起きたときもWeb検索で解決方法を探し回ることなくスムーズに対応できる。

ExcelのエラーはWeb検索で答えを探し回らなくてもいい。写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)

ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。


「謎のエラー」はその場でAIに質問

 今回は、VLOOKUP関数を使って「得意先マスタ」シートから単価を取得し、「売上明細」シートに反映しているケースを例に解説する。

 「得意先マスタ」シートに新しい列を追加したところ、「売上明細」シートの「金額」列がエラー表示になってしまった。従来であれば、「VLOOKUP エラー」などのキーワードでWeb検索をして解決方法を探していただろう。

VLOOKUP関数を使っているExcelのブックで、マスタを触ったらエラーが発生

 Excelの「ホーム」タブに表示されているCopilotボタンをクリックすると、サイドバーにチャットが表示される。ここからシートの内容についてやりとりすることが可能だ。

AI機能を利用できるプランを使っている場合、ホームタブ右側にCopilotボタンが表示される

 ここではExcelの画面で操作を進めるが、Google スプレッドシートの場合も、画面右上に表示されているGeminiアイコンをクリックすることで同様にAIチャットを利用できる。

 難しく考えず、今困っていることをシンプルに質問すればよい。Excelのシートの内容が認識された状態で質問できるので、大ざっぱな聞き方でも問題ない。

プロンプト例とその回答

プロンプト

「金額」列がエラーになったのはなぜ?

回答

 ファイル内の2つのタブの内容をふまえ、文字列を参照していることが原因との回答が返ってきた。この段階では解決方法は示されていないので、続いて手順を確認したい。

プロンプト

エラーを修正する具体的な手順は?

 すると、以下のように修正手順が丁寧に記載された回答が返ってきた。ここで表示されたとおりに操作すればエラーを解消できそうだ。

回答

 ただし、この方法で解決した場合、得意先マスタに新しい列を追加する度に同様の修正が必要になってしまう。

「より楽に解決するための関数」も教えてもらえる

 できれば今後のために、修正不要でエラーを出さない状態にしておきたいところだ。その場合も、AIが別案を提案してくれる。上記に続けてチャットに次のように質問した。

プロンプト

今後、「得意先マスタ」に新しい列を追加しても、その都度エラーを修正する必要のない関数はある?

 INDEX関数とMATCH関数を組み合わせた方法が提案された。ただし、提案された数式は少々長く、あまりシンプルな方法とはいえない。

回答

 AIの回答内容に納得がいかないときは、もっといい方法がないか聞いてみるとよい。

プロンプト

よりシンプルに実現する方法はある?

 今度は以下のように、XLOOKUP関数を使った方法が提案された。こちらの方がシンプルに運用できそうだ。回答内には具体的な数式も記載されているので、これをコピーしてセルに貼り付けるだけよい。

回答

 回答には、「他のセルも同様に修正してください」としか記載されていないが、それらを自力で書くのは手間がかかる。その場合は「全てのセルの差し替え用の数式を出して」と指示すれば他の数式も提案される。

 実際のセルを書き換える作業は人間が行う必要があるものの、ここまで具体的になっていれば後は手を動かすだけなので非常に楽だ。Excelの画面から移動することなく、問題を解決できた。

 ExcelサイドバーのAIチャット機能は、Microsoft 365 PersonalまたはFamilyを利用している個人ユーザーと、Microsoft 365 Copilotアドオンに加入している組織ユーザーが利用できる。

 Google スプレッドシートの場合は、Google One AI プレミアムに加入している個人ユーザーと、Google WorkSpace Business Standard以上のプランを利用している組のユーザーが利用可能だ。

 Excelやスプレッドシートのエラー解消や、分からない操作を調べる作業は、自力で正解にたどり着くのに時間を取られがちだ。アプリケーション内に常駐しているAIを活用することで、不毛な検索に費やしていた時間を削減できる。

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