この記事は、『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(加藤京子著、日本能率協会マネジメントセンター)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
若手の「効率化」への提案が、上司にとって「手抜き」と映ってしまうこと、確かにあります。でも、手っ取り早く……という言葉に引きずられ、やみくもに相手を否定してしまうと、歩み寄りはできなくなります。最近、あなたは、少し疲れています。
ある日、あなたは、部下(25歳)から「その仕事、手っ取り早く教えてもらえませんか?」と言われてしまいました。あまりにストレートな表現にびっくりしましたが「まずは、自分で考えること、それも大切だ」と伝えました。そうすると「え? ご存じなんでしょう? 分かっているのであれば、なんで秘密にするんですか?」と詰め寄られてしまいました。
悪気はないようですが、楽なことばかり要求する部下です。どうしたらよいのでしょう。あなたは、悩みつつも、素直に「手っ取り早く教える」……という気持ちになれません。説明しようとすると「もういいんで!! 要するにどうすればよいのですか!」と吐き捨てるように言い始めました。
あなたを見る「表情」、ため息交じりの「返事」、表情からは「モタモタするなよ」「早く教えろよ」圧力も伝わります。毎日、とても憂鬱です。
自分の行動が他人にどのように影響を与えるか、意識が及んでいないようです。しかし悪気はなく、自分の価値観に根づいた発言とも映ります。無自覚に相手を追い詰めているように映りますが、繰り返し行われると、上司の権威を下げる意図も垣間見えてきます。
手っ取り早く……という言葉にカチンときていますよね。あなたは、その「手っ取り早く」という表現を快く思いません。なぜかというと、今までのあなた自身の知識や努力が軽視されているように思えるからです。
今まで頑張ってきた「仕事の複雑さや深さを軽んじられた」と感じるからです。あなたの本音は、「何でもすぐ答えをほしがるな」です。「仕事には、『時間や積み重ね』が必要だ」「何もしないうちから闇雲に質問するな」ですよね。
部下は、「時間がないのに、なんで教えてくれないの?」「もったいぶらずに教えてくれればいいのに、なんだよ!」「結局、効率よりも手順を重視するのか……」です。「教えてくれないこと」が、無駄な作業や工程を増やし、いたずらに時間を消費させている、とも思います。
一方、あなたは、教えないことが、「ムダだ」とは思っていません。まず、ここでは、部下が育ってきた時代的な背景や心理的な要因を考えてみましょう。
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